忌み子
なろうの方では初投稿作品となります。
pixivの方で二次創作は書いていたんですけど、一次創作となるとやはり、勝手が違いますね。
これからもちょくちょくアイデアが浮かんだ時には投稿していきたいと思っているので、よろしくお願いします。
振り続ける雨は道路に大きな水たまりを作り、路地裏を走る少女の体温を奪い続けている。
少女は布にくるまれた何かを抱えて必死に走る、身につけているものといえば、ぼろ布のようなワンピースを着ているだけで、靴も履いていない。
そのせいで、路地裏の固い地面によって、足を踏み下ろすたびに、生傷が作られていく。
少女の足取りは段々とおぼつかなくなり、コンクリートのヒビに足を取られ、転んでしまった。
同時に布にくるまれた何かが放物線を描きながら地面に落下し、2,3回、その場を転がると、その動きを止めた。
少女這い、それながらそれに近づくと、布をほどき、中のものの状態を確認する。
少女の顔はどんどん歪んでいき、次第に、両の瞳からボロボロと涙が落ちていく。
少女はそれと一緒に壁にもたれかかり、泣き続けた。
少女には、最早立ち上がる体力は残されていなかった。
どれほど立っただろうか、少女は泣きつかれ、ただ地面を見つめることしか出来なかった。
時折、少女の前を通る人もいたが、見て見ぬふり、声をかけるものは誰一人としていなかった。
もう、少女はここで力尽きてしまうのか、そう思った矢先、一人の老人が声をかけてきた。
しかし、少女は答えなかった、少女は耳が聞こえないのだ。
老人はそんなことに気づかず、声をかけ続ける。
少女はまだ気づかない。
老人は少女の肩を叩くと、少女は体を強張らせながら、布に包まれた何かをギュッと強く抱きしめ、老人を睨みつけた。
老人は、自分に悪意がないことを必死に伝えようと口を動かすが、少女に伝わることはない。
ようやく、少女の耳が聞こえないことを理解したのか、手話で話始めた。
老人は、拙い手話を使い、悪意はないこと、少女を家に招き入れたいと思っていること、を伝えた。
到底信じられるものではないが今よりひどい状況にはなるまいと思ったのか、少女は、老人の提案に乗ってみることにした。
老人は、少女に手を貸し、立ち上がらせると、路地裏から大道理へと出て、路肩に止めてある車へと少女を案内した。
家に着くと、老人は、暖炉に火をつけ、少女に暖炉の前にいるよう伝えると、家の奥へ入っていった。
少女は火の粉が布に付かないよう気を付けながら、暖炉の日に当たった。
火の暖かさに少女は思わずうつらうつらしてしまう少女の目は未だ警戒心が見て取れるが、段々とそれも解け始めた。
暫くすると、老人が、風呂が沸いたから入りに来るよう伝えた。
少女は布に包まれた何かを、暖炉から、離れた所に置くと、老人が案内する方へと向かう。
少女はそのぼろ布のようなワンピースを脱ぎ、バスタブに浸かる。
温かいお湯が少女の体を温める、冷えた体が急に温まり、痺れるような感覚になるが、逆にそれが心地よい。
少女はパシャリとすくった水を顔にかけた。
大きく息を吸い、体全体をお湯の中に沈ませる。
暖かい湯に身体全身が沈み、まるで母親の胎内に帰ったかのようだった。
少女はひとしきり湯船で身体を洗うと、置いてあったタオルで体をふき、脱衣所へと向かう、そこにはさっきまで着ていたものはなく、小綺麗なワンピースに下着も一式置いてある。
あの老人が用意したものだろうか、彼の孫か、娘のものだろうか、少女は特に気にせず着と、脱衣所の外へと出た。
老人の元へ行くと、机の上に豪勢な食事が用意されていた。
少女がいなかった僅かな時間で作れるものではないことは明らかだ。
老人は、少女に一緒に食べようと伝える。
少女は机の前の椅子に座ると、目の前にあるパンにかぶりついた、外の硬い箇所を抜けると、柔らかな感触が歯に伝わり、口の中に小麦粉の旨みがいっぱいに広がる、頬が痛くなるほどの味。
少女はいつの間にか泣いていることに気が付いた。
少女は必死にパンに食らいつく、噛むたびに涙が溢れてくる。
老人は、そんな少女の様子をただジッと微笑みながら見守っている。
一つ食べ終わると、またすぐに二つ目に手を伸ばす、老人は、焦らなくていいと伝えるが、少女の勢いはやまない。
スープの入れられたカップに口をつける、舌に熱い液体が広がり、思わずむせ返りそうになるが、何とか耐え、中身がなくなるまでそのカップを口から離すことはなかった。
次に、机の中央に置いてある、何かに手を伸ばす、少女はそれを見たことはなかったが、一段と強い薫りをそれは、放っており、間違いなく美味しい何かであることはわかった。
素手でそれをつかみ取ると、恐らく手掴みで食べるようなものではなかったのだろう、老人は、一瞬驚いた顔をしたが、すぐに破顔し、少女を見つめ続けた。
口の中に放り込む、瞬間、舌の上の味蕾が弾けた。
少女の脳に味わったことのない幸福感が押し寄せる。
初めての感覚だ、少女はより一層大きな涙を零し、口を動かし続けた。
ひとしきり食べたのち、少女は机の上に置かれた料理の数々を、殆ど自分一人で食べきってしまったことに気づいた。
しかし、老人は、特に咎めるようなことはなく、ただ笑っていた。
やがて、老人は、自らのことを語り始めた。
昔孤児院で働いていたこと、娘が二人いたが、その二人とも嫁に行き、今は一人で暮らしていること、料理が趣味なこと。
そのどれもが、一般的な老人が辿るであろうものだった。
老人は、良ければずっとここにいてもらっても構わないと伝えた。
その提案は少女にとって好都合なものだが、にわかには信じ難い、本当に、何の見返りもなく、そんなことをするだろうか、少女には何か裏があるように感じられて仕方がなかった。
暫く、考えていると老人は、ゆっくり考えなさい、と少女に伝え、今日はもう、遅いから寝なさいといい、少女を寝室へと案内しようとした。
少女は思い出したかのように、布でくるまれた何かを抱きかかえ、老人の後に続いた。
寝室の中に入ると、5畳ほどの部屋にシングルベッドと、デスクだけが置かれた質素な部屋、恐らく、老人の娘が使っていた部屋なのだろう。
老人は部屋から出ようとする前に少女に布の中身を見てもいいか尋ねた、途端に少女は顔を青くして、必死に首を振ると、老人はそれ以上詮索するようなことはなく、ただ、おやすみ、とだけ伝え、出ていった。
ベッドに腰を掛けると、マットレスが少女の体重に合わせて沈んでいく、その感覚がなんとも心地よい。
一日中走り回った疲労もあるのだろう、少女は布に包まれたそれを抱きかかえながら睡魔に従い眠ってしまった。
どれほど時間が立っただろうか、ドアの開く音に目が覚める。
あの老人が入ってきたのだろうか、だが、何のために?
少女は起き上がろうとするも、体が重く起き上がれない。
人影が部屋の中に入ってきたと思うと、ゆっくり私のもとへと近づいてくる。
段々とハッキリその人影が見えてくる、やはりその人影の正体は老人だった。
老人は少女の身体に手を伸ばし、少女の服を脱がそうとし始めた、
あぁ、やはりそういうことか、少女は抵抗しようとするも、体が思ったように動かない。
老人は少女が目を覚ましていることに気づいていないのか、それとも気づいてなお脱がそうとしているのか、その手を止めようとしない。
老人の手によって、少女の未発達な双丘が暗い部屋の中で露わになった。
その時、少女の体に急に力が入る。
少女は布に包まれたものの中から何かを取り出す。
取り出したとドチャッという嫌な音と同時に布に包まれたものが落ちた。
老人は足元に落ちたそれを見て怯えたような表情を見せ、何事かを叫んでいる。
少女は耳が聞こえないが、それが私を罵るようなものであることは表情から分かった。
少女はその取り出したものを老人の下顎に突き刺した。
貫通したそれが老人の口の中から見える。
それは口の中で舌を突き刺し、少し上顎に刺さっている。
引き抜くと、老人の口からドボドボと血が流れてくる。
老人は蹲りもだえ苦しんでいる、少女はそのナイフをそのまま蹲る老人の背中に突き刺した。
何度も、何度も突き刺した。
やがて、完全に老人が動かなくなったとき、少女は自分の体が血にまみれていることに気が付いた。
少女はゆっくりと一歩一歩、バスルームへと足を向ける。
血にまみれた服を脱ぎ捨て、シャワーの蛇口を捻る。
お湯を出したかったが、出し方がわからないので諦め、冷たい水を頭から浴びた。
バスルームから出て、新しい服を探すも、見つからない、見つけられた服は、老人の返り血で染められたワンピースと、最初に着ていたぼろ布のようなワンピースだけ、もう一度、このぼろ布に袖を通すのははばかられたが、血に染められた服よりはましだ。
少女は嫌々ながらそのぼろ布に袖を通した。
寝室に戻ると、倒れ込んだ老人の隣にいる、赤子を抱きかかえる。
もう動かないが、少女にとって、最も愛しいものだということは変わらない。
少女は自分の赤子を布に包みなおした。
外に出ると、まだ、雨が降っている、やむ気配はなく、むしろより強くなったようにも感じる。
少女はそんなことお構いなしに、外へと飛び出し、もう一度駆けだした。
目的地はない。
この先どうなるかは、幼い母親にはわからなかった。
私は、こういう感じの暗くて救いの無いような話が好きなんですよね、いつか、自分でも書いてみたい思っており、要約夢がかないました。
拙い文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
これからも、投稿していきますので、よろしくお願いします。




