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一時間も経たないうちに、審判役の声が響き渡る。
「そこまで!」
目の前ではアルフレッドが、僕に叩きのめされて、無様に横たわっていた。
そもそも双刃刀という武器は、剣というより、槍や薙刀に近いものだという。その点、そうした武術も少し齧っている僕には、最適の武器だった。
しかも本物の双刃刀ではなく、二本の剣を合わせ持っているだけなのだ。だから戦いの途中でそれぞれに分離して、本来の二本として扱うのも容易であり、変幻自在の剣術となった。
僕だって元々、短い時間ならば普通に片手で剣を扱える騎士だ。双刃刀状態で肩に寝かせて、少し休ませる時間を挟むことにより、ようやくノーザンノイエ二刀流を使いこなせるようになったのだろう。
こうして僕は、向かうところ敵なしになった……と言ったら大袈裟だが、少なくとも騎士道場のトップレベルまで昇り詰めたのは間違いない。
道場の騎士たちは皆「さすがノーザンノイエ家の嫡男だ」と噂している。
我が家に伝わる剣術に勝手なアレンジを加えてしまったけれど、父上は何も文句を言ってこないので、認めてくれているのだろう。結果さえ出せば十分、というのが父上の方針のようだ。
双刃刀にしろ二刀流にしろ、元々、複数の敵を相手する際に、特に有効とされていた。だからその二つを組み合わせた剣術は、実戦では大いに役立つと思われて、王国騎士団の間ではかなりの人気らしい。
この分ならば、いずれは父上の跡を継いで、すんなりと僕が王国騎士団の指南役に収まれそうだ。
それどころか……。
もしかしたら、ノーザンノイエ新・二刀流の開祖として、僕の名前が王国の歴史に残るのではないだろうか。
(「非力な僕の二刀流」完)




