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数日後の模擬対戦。
前回と同じく、対戦相手はアルフレッドだ。
「始めっ!」
審判役の声と同時に、アルフレッドが二本の剣を抜いた。
一瞬だけ遅れて僕も構えると、彼は少し怪訝な顔をする。
「……ん? 何のつもりだ?」
僕の構えは通常とは違っており、右の剣は普通に順手の持ち方だが、左は逆手持ちだったのだ。
ただし、これもノーザンノイエ二刀流の型の一つ。いきなり使うのが珍しいだけで、ここまでは驚くべき話ではなかった。
続いて僕は、左右の剣を少しずつ近づけて……。
二つの剣の柄を、完全に重ねてしまった!
「何だ、あれ?」
「双刃刀のつもりか!?」
見物の騎士たちが騒いでいる。
確かに、いわば即席の双刃刀だった。
二本の剣を両手で合わせ持つ格好だ。二つの柄を逆向きに重ねることにより、それぞれの手で同時に両方の柄を握る形だった。上の刃に相当する刀を順手、下の方を逆手とする双刃刀だ。
「お前、馬鹿じゃないのか?」
こちらを見下すような言葉でありながら、アルフレッドの声に焦りの色が混じっているのを、僕は聞き逃さなかった。
「お前は非力だから、片手で一本ずつは無理。だから両手で二本。……そう考えたんだろ? だけど、それじゃ結局、一つの手にかかる負担は同じだぜ!」
「それはどうかな?」
あえてニヤリと笑ってみせる。
確かに彼が言う通り、二本分の剣の重さを左右の手で持つ以上、単純計算では、それぞれの手にかかるのは一本分ずつ。
でも数字の問題ではないのだ。「両手で持つ」という意識が心理的に僕を楽にするし、両手持ちならば安定感が増す、という効果もあった。
さらに……。
少し構えを動かすと、今度こそアルフレッドは大きく驚いた。
「何っ!?」
新しい僕のスタイルが、上側の刃を肩に担ぐ格好だったからだ。
剣というものは、基本的に片刃だ。銀色に輝く刃の部分も、斬れ味が良いのは敵に向ける面だけであり、反対側は全く斬れない峰という構造になっている。峰打ちという言葉もあるように、叩くための武器としては使えるが、少なくとも刃物とは呼べなかった。
だから峰の部分を自分の肩に当てて、寝かせるようにして剣を担ぐことも可能であり、これは誰でも経験のある姿勢だろう。
ただし、それは普通、剣を休ませる時だけ。敵と向き合っている最中まで肩に担いでいたら、剣の切先は敵とは反対側となり、斬り込まれても咄嗟に反応しにくい。
しかし、双刃刀ならば話は別だった。上側の刃を肩に寝かせたまま、下側の刃は、きちんと前面の敵に向けられている。
しかもこの格好ならば、両手に加えて肩でも二本の剣の重量を分かち合う形になり、非力な僕でも、存分に剣を操れるのだった。
「み、見かけ倒しだ! 俺は騙されないぞ!」
声を震わせながら、アルフレッドが斬り込んでくるが……。




