3
「えいっ! えいっ!」
空も薄暗くなった夕方の遅い時間、いつものように僕は、裏庭の木陰で剣を振るう。
一人で素振りするのは、鍛錬のための日課であると同時に、幸せな時間でもあった。心を無にして剣に身を委ねると、それだけで身体中が何かに満たされるような感覚になるのだ。
ただし。
僕の素振りは、ノーザンノイエ二刀流の型ではなかった。両手で一本の剣を握るという、ごく一般的な剣術の型だった。
「……」
いったん素振りを止めて、右手一本で剣を持ってみる。
ずっしりと重量感が伝わってきて、早速、腕が疲れたような気分になる。数分程度ならばまだしも、この状態で一試合ずっと戦えるとは思えなかった。
二刀流の騎士にしては、僕は非力すぎるのだろう。
「生まれる家を間違えちゃったのかなあ……」
そんな独り言が、僕の口から漏れる。
正直、二刀流さえ使わなければ、騎士道場の誰が相手でも負けないと思う。一般的な剣術の型どころか、槍術や棒術、薙刀術の型すら遊び半分で覚えてしまったくらいだ。武芸全般に自信があった。
「でも、ノーザンノイエ家の騎士としては、それじゃダメなんだよな。二刀流じゃないと、認めてもらえない……」
ご先祖さまのように、二本の剣を同時に使わないと……。
そこまで考えた時、一つのアイデアが浮かんできた。




