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「あっ!」
鍔迫り合いで力負けして、僕は右手の剣を落としてしまった。
一瞬、頭の中が真っ白になる。
すぐに「右手がフリーになったのだから、左手で握る剣の方に添えるべき」と思い当たるが、間に合わなかった。
「隙あり!」
対戦相手のアルフレッドが、嬉しそうに叫びながら、左右の剣で僕を叩きのめす。
「そこまで!」
審判役の声が響き渡り、今日の模擬対戦も、僕の敗北で幕を閉じた。
「連戦連敗じゃないか」
「情けないなあ、あいつ」
「ノーザンノイエ家の面汚しだな」
周りの騎士たちの笑い声が聞こえてくる。
項垂れたまま、僕が何も言えずにいると……。
「それでも映えあるノーザンノイエ家の嫡男か! 顔を上げろ、ハンス!」
いつものように、一喝されてしまう。
恐る恐る顔を上げれば、鬼のような形相で僕を睨む、厳しい父上の姿が視界に入るのだった。




