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ヒューマンドラマ

会社を『一人ストライキ(無断欠勤)』してみた。 【世は理不尽】

作者: 山目 広介

   ※ざまぁサギにご注意ください。

   ※事実を元に再構成しております。フィクションです。


目次

◇ストライキ

◇経緯

◇原因

◇結果

◇おまけ

◇◆◇ ストライキ(無断欠席) ◇◆◇


 その日、私は会社に行かなかった。

 その理由はおいおい語ることにする。

 普段は1時間は前に会社にいるため、いつも通りに朝起きた私は決行日の始業時間までのその間、すごく持て余す。


 いつもは会社に行って、電源を入れ、電灯を点け、PCを起ち上げ問題なく起動を確認してから、休憩室へ行きジュースを買って文庫本を片手に静かに読書を始業時間まで楽しむのが日課だった。

 PCの起ち上げに問題があったのは1度だけではあったが存在する。

 あのときは早めに伝えたため、対応も早かった。

 始業後だったら、朝礼で担当者が捕まらないし、時間が掛かったかも知れない。




 だが、その日は読書の気分ではなく、無駄にTVを見て時間を潰す。

 高校や中学でも真面目に学校に通っていたため、かなり緊張していた。

 もちろん会社でも当時は休んだこともなく、ちょっと心配もしていた。

 心配とは私がいなくて、普通に仕事を皆が始められるのか、どうか、だ。

 一応、同僚に普段やっていることを伝えてはあったが、日頃から私が全部やっていたため、無断では対応がすぐには出来ないかもしれなくて、ちょっと慌ただしくなるのではないか、と。

 後から知ったが、やはりこの時いつも通りに行動してた人たちが困惑していたらしい。

 まあ、動き始めれば私一人がいなくても問題はないはずなので、そこは心配していない。


 始業の時間が来て、そして過ぎ去っていった。

 しばらくして電話が来る。まー当然だ。

 予期してはいたが、緊張はする。二度三度深呼吸する。

 その間催促する電話の電子音が私の心臓の鼓動を加速させる。

 電話に出る。


「はい、山目です」

『こちら上司。例の件なら前任者も連れて休憩室にいるから来てくれんか』

「わかりました。休憩室ですね。20分は掛からないと思います」


 仕事場まで近くなため、そんなには時間は掛からない。

 って、これで会社に行くと無断欠勤じゃなく無断遅刻じゃね? まーいいけど。




 そして休憩室に行くと上司たちが待っていた。

 私が席に着くなり、二人(そろ)って、……












「申し訳なかった」


 そう言って、頭を下げた。


 ……


 ふっ、ざまぁ。







 あれ? ……ざまぁ? なんか違う。

 今は仕事の時間。当然、休憩室には誰もいない。


 なんだろうか。この、やるせない気持ち。

 切り札を使って、やり込めたのならば、「ざまぁ」と出来る。

 しかも、人前ではない。価値が半減じゃない?

 しかし、先に頭下げられ、こちらの言い分を飲むという。……あれ?




 この時用に切り札を10も用意したのに……

 例えば切り札の一つは、リーダーなのにアルバイト。向こうからリーダーがバイトは困ると言われたのにそのまま。同僚にはリーダー手当がついて、4割以上も給料が違う……、1年半、仮に低く見積もって年収200万としても120万は取れる、とか。

 給料が低いのは他のラインの人と違い、効率化してあまり残業をしなかったからだ。

 他のリーダーたちは管理が大変なのかは分からないが、棚卸(たなおろし)でも残業してまで数えてるし。

 自分ところ? 当然いつも最初に棚卸の確認をしてましたよ。

 他のラインの、まともな別のリーダーさんの人も言っていたが、さっさと終わらせられないバカとか。

 リーダーの前よりも残業が明らかに減ったからな。最初はしてたけど。


 月末に次の月の管理用紙をコピーするためにリーダーたちが渋滞するとか非効率もいいとこ。バカらしいから1度経験した後は日常業務の空いた時間に早めに用意しておいた。

 他にも前任者(正しくは前前前任者)の引継ぎに不備が多すぎてその対応にかなりの時間を要した。つまり残業だ。

 初期は大変だったのだ。


 そう、私は派遣で工場で一つの製造ラインのリーダーをしていたわけだ。






 そして、この日リーダーを辞めた。




◇◆◇ 経緯(リーダーになった) ◇◆◇


 もともとリーダーなんてやりたくはなかった。

 だが、やらされた。

 しかもかなり酷い勧誘の仕方で。




 前前任者来なくなった。一度叱ったりしたが。フォローもしたのに。

 叱った理由は修理品をいきなり5台もラインの検査に投入しようとしたからだ。

 作っている、組み立てている物が検査に回せなくなり、止まってしまう。

 検査の方が速かったとは言え、組立の2倍もの速さはない。

 しかも組立はギリギリに近い。時間的に、だ。

 だから止めた。連続で入れるな、と言って代案で、(組立から)2台に(修理品)1台にしろと。

 そして休憩で、まだここのリーダーになって日が浅いから仕方がない、と慰めた。

 このことと関連したのかは分からない。だが、しばらくして、そいつが辞めた。




 そして来た次のリーダー。その前任者(リーダー)が逃げた。新人の正社員だったのだが……

 こちらとはほとんど関わっていない。


 そこで白羽の矢が立ったのが私だった。

 もちろん最初に速攻で「嫌です」と断った。

 だが、その人しつこかったんですよね。つまり、呼び止められた。

 私も逃れるため他の人を推挙したが、却下された。

 他の作業者である、飲兵衛やバカとか責任感持たせれば、と説得したのですが。


 そうやってごねていたら、また別の新人を代わりにリーダーさせるという。

 今の仕事にいっぱいいっぱいで泣きながら仕事してたのに。

 その人、猫被っていた(本性はトラだった)ことが後で分かったが、いきなりリーダーとか可哀そうだろ、とその時は思った。それって人質だろ。

 それに製造ラインが崩壊したら、こちらにもとばっちりが来る。




 その説得中、気になる言葉があった。

 他にいない。仕方なく(・・・・)


 ちょっとカチンと来た。

 言葉遣い!?

 それって、本人に言うことか?




 だが受けることにした。人質とられたらなぁ。


 条件は二つ付けたが。




◇◆◇ 原因(リーダーを ヤめた) ◇◆◇


 それはリーダーをしていた時だ。

 品質保証の人が作業者に意地悪チェックというものを仕掛けた。

 これは部品の番号などが正しいかを、『作業者が確認していること』を確認するための行為だ。

 例えば、過去の不良品で番号をマジックで塗りつぶしたりしたものを部品入れの物と交換して入れて、作業者が確認できなくし、不良品として上司に報告するかを試す、そういうものだ。


 ある作業者がそれに引っかかった。新米のおっさんだ。

 そのまま、部品を取り付けた。

 注意する。 品証の人の前でするなよ。


 そして、自分たちでも番号に黒いテープなどを貼り、読めなくして作業者がどうするかを見学。

 言われた直後にまた引っかかる……

 バカなんだろうか? 警戒心の欠片もないのか?




 一応形状が特殊な製造物だったため、似て非なる部品が存在してなかったから、大事にはならない。

 過去には一応機種違いがあったが、この当時にはなくなっていた。それは把握している。

 だがルール上、これはダメでしょ。


 しかし、私には当然、人事権なんてなかった。

 だから、ちゃんと確認させて、その上で製造も台数を上げなければいけない。


 無理だった。

 真面目に確認して遅くなるんだったら、フォローするさ。

 でも違う。確認自体をしない。こいつをどうしろと?

 その作業者をチェンジしたかった。


 そこで愚痴っていたところに製造ラインの別の作業者の女の子がいて、その独り言を聞いてて、それを「辞めたい」と勘違いした。「もう辞めたい」と言っていたから。

 上司に連絡することがあったから、ついでに伝えておくよ、と伝えに行った。

 速攻だった。

 取り付く島もないってやつだ。


 上司の前任者とのトラブルと勘違いした、現・上司がその前・上司と渡りをつけると言って今週中と期限を切って伝えてきた。

 その現・上司はトラブルに巻き込まれるのは御免と、こちらが話そうとしているのに自分の用件だけ言って去っていった。

 そして、連絡は金曜の残業時間にもなかった。


 そして月曜、私が一人ストライキ、つまりは無断欠勤をしたわけだ。




 リーダーになるための私の出した二つの条件。

 一つは、リーダー業務の明文化。

 つまりはマニュアルだね。

 「仕方なく」と言われて長居したくなかったから、引継ぎ用に。

 二つ目は、困ったら助けて、ってこと。応援要請かな。




 だが、守られなかった。二つとも。




 一応、マニュアルは書こうとしたが、私が二度とも却下した。

 箇条書きにしても足りない。本当にリーダーやっていたのか、と疑う内容。不良在庫の処理とかコイツが原因か。

 次は使えないもの渡すな、と。意味不明な駄文。


 もうちょっと分かりやすくしてほしい。

 せめて一日にする仕事を時系列にし、一週間で必要な仕事、一か月の仕事、緊急時の対応、とか分けて、さ。

 これを読んで仕事ができる人はいないと思ったから、却下した。




 困ったときも二度あったが、一度は助けるどころか足を引っ張られた。

 応援に来た人と意見の食い違いから口論に。

 しかし、有耶無耶で本来の困ったことの方が何とかなったから、良かったが。

 もう一つはコレだったんだが……




 上記のように、この条件を守られていないことから、前・上司が私とトラブっていると現・上司から思われていた。




 そして私は『作業者がちゃんと(作業者をちゃんと)決められた業務を(決められた業務を)行わないから(行うようにしてほしい)何とかしてほしい(もしくは チェンジ)』というリーダー(・・・・)としての願いが『リーダーを辞める』ということで解消された。


 なんだろうか。この、願いを(ゆが)められた感は……


 私の言い分を飲むと、上司たちは言っていた。

 (ちな)みに私の言い分(・・・)訊かれていない(・・・・・・・)




◇◆◇ 結果(ヒラにもどった) ◇◆◇


 その後、半年ほど印鑑は押さない、責任はない、ということで同じ業務を続けていた。

 なんか納得いかない。





◇◆◇ おまけ ◇◆◇


 そして作業者として完全に戻った。

 リーダーも後任が引き継いだ。


 だが分からないことを私に聞く。

 何、この逆転現象?

 立場はどうなっているんだろうか?

 私はヒラなんだが。リーダーが教えを乞うている。

 まーいいんだが、全体を通して聞かれると流石に困る。

 これが女の子だったなら、頼りにされて嬉しくもあるだろう。

 だが、チャラいにーちゃんに言われても、な。嬉しくないだろう。




 ある時、チャラいにーちゃんリーダーが別のラインのまともなリーダーさんに愚痴っていた。

 そこは休憩室。

 ちなみに私は同じテーブルの別の端に腰掛けて休憩していた。


「リーダー向いてないのかな」

「前任者の真似はやめとけ」

「でも未だに仕事が熟せないんだよ」

「あれらは上司からの無理難題を力業で片付けていた。真似するとヤケドじゃ済まない」


 あれ? 私がここにいるの知っているよね。聞こえてるよ。

 私の事ディスっているの? ディスってる?

 えっ、力業ってどれのこと? そんなことしてないよ。

 今の方が大変だよ。前から人員削減されていたけど、もっと減ったから。

 人減らされて、二人でやっていたところを一人でやってるよ。

 最初は台数を10から8に減らすから、と言われて。でも1.6人分。

 一月(ひとつき)でまた台数が日に10台に戻って。2人分。

 次の月で五日(いつか)二日(ふつか)は14台、あとは12台。2.4~2.8人分。

 大変過ぎて私、二回も潰れたよ。限界突破しちゃったよ。


 あれ? もしかして私にも忠告か何かしている? 分かり難いけど。

 もしかして私は今、上司から無理難題押し付けられている、のか?




 あれ? また、やら(ストライキ し)ないといけないのだろうか……




ざまぁサギ


上司が頭下げるだけで良いならいいですが。


【2018.07.15】23:40ごろ 訂正

「あれらは力業で仕事を片付けていた。真似するとヤケドじゃ済まない」

から

「あれらは上司からの無理難題を力業で片付けていた。真似するとヤケドじゃ済まない」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 似たような経験ありすぎて、泣いた。 [気になる点] 特にありません。 [一言] 世の中、正直者は馬鹿を見ますねぇ・・・。
2018/11/11 00:54 退会済み
管理
[良い点] 作者殿はうちの会社かな?っと一瞬目を疑いました(*゜▽゜)ノ ジジイの戯言ですが、最近の人は考えることを放棄してます(^_^;)言うことをハイハイと聴く良い子ちゃんばかり出世させて、いまさ…
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