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妻の病
妻が病に倒れた。
私は娘を寄宿学校に放り込み妻の治療に当たる。
学生時代の妻の取り巻きがうるさく煩わしい。
隔離し会わせない。
ああ。
すべてが煩わしい。
その瞳を開けてくれ。
うだうだと実現不可能な夢を語ってくれ。
花がもうじき咲く時期だ。
自然災害も戦争も箱庭の内側には届かない。
目を開けてくれ。
私に微笑みかけることもない妻。
しかし、他の誰にも微笑まないでいる妻は今私だけのものだ。
この瞬間はこのままでいいと思うんだ。
このまま、世界が滅べばいい。