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私の妻
私の妻は頭の軽いお花畑で時に暴力的な平和主義者だ。
私が妻の価値を認めるのはその外観である。
そのみてくれがあるからありとあらゆる愚かしさや欠点を受け入れられるのである。
ホットミルクのような肌にきらきらしい紅茶色の瞳。ミルク多めカフェオレ色の波打つ髪。
妻が『人はわかりあえる』と言うたびに『わかりあえない』という言葉を飲みこむ。
世界は妻が夢みるように優しくも甘くもない。
夢見がちなお花畑な頭では理解できないようだけど。
わかっていることだ。
世界は平和になることはない。
愛しあい助けあい手をとりあう世界は夢物語。
愚者の夢みる世界。
それでも、妻の周りぐらいの箱庭なら?
わかりあえないものを除外して偽りの楽園なら。
そう考えた私もしっかりと愚かだ。