1-17 『会談』
「どうだ? 修行の方は?」
彼は言う。
「うぅん……つまぁんない。あきてぇきちゃったぁ」
私は答える。
「だぁって……修行するならぁ、まずはぁ、あのぉ思考回路をなぁんとかしなきゃぁいけないのよねぇ……それにぃ、やぁるきを感じなぁい。必死ならぁ、もっとぉ反抗してぇ来てもいいよぉうな気がするんだぁけどなぁ……それすらぁかぁんじなぁいなんてぇ……はぁ」
私は怒りの念を込めて、言った。ほぼ愚痴に近い。
私の言葉を聞いて、彼はふんっと鼻で笑った。
「お前の事情なんか知るか。まあ、あの餓鬼もどうでもいいけどな。俺にしちゃ、あの餓鬼の拾い物のほうが気になる」
「……なぁんだ……知っていたぁの……」
「こう見えても、俺は全部見えてるからな。ったく、面倒な拾い物してくれた。まさか、いないと思ってたやつがここにきて現れるとはな……なんだよ、殺したんじゃなかったのか?」
「さぁ? ころぉしたのは、わぁたしじゃなぁいから。でぇも……存在価値としてぇの彼女はぁ、すでに死んだぁも同然よぉ」
「……どういうことだ?」
「ふふぅ。気になるのぉ? 気になぁっちゃうのぉ? そぉんなにあの子が邪魔ならぁ、さっさとぉ、オろせばぁいいのにぃ」
「オろすさ。だから、情報が欲しい。無駄話は止めて、さっさと俺のために働け。お前の存在価値は、俺を生かすためなんだからな。あいつをオろすのも、全ては俺のため。世のため人のため……なんつってな! あはは!!」
「うへぇ……おもしろぉくなぁい」
「感想を言うな!」
私は笑う。本心から。
「――で、結局のところ、どうなんだよ。あいつは、どういう意味で死んだ? そして、なぜ死んだのに生きている?」
「――今、あの子はぁ、舌がないのぉ」
「――そうか」
彼は、くつくつ笑う。
「くはっ! なんだそれ! 死んだ死んだ! あいつももうこれで、いねぇも同然だ! あいつはカウントしなくていいな。でも、ならなんであいつはまだここにいる? 存在価値がなくなったくせに、まだ未練があるのか?」
「さぁねぇ? わぁたしも、そこらはどぉうでもいいからぁ」
「適当だな」
「適当だぁからね」
「それでも、俺のためにせかせか働け。未練があるなら、それを断ち切ってしまえばいい。未練などなくして、自分の存在する意味をなくしてしまえばいい。どうせ、あいつにはもう価値などない。【舌壊断】はすでに死んだからな」
「未練をぉ断ち切るぅ……?」
私は少し考えて、あぁ、と納得した。
うん。
確かにそうだ。
彼女を楽にいかせてあげよう。
未練さえ残されていないなら、彼女はすぐにいくはずだ。
「【舌壊断】は、すでに価値を失ったのだから――」
呟きは虚空に消えて、今もどこかでカミゴロシを願う少年の下へは届かない――。
そして私は、将来の彼の姿を思い浮かべ、嗤う。
「あぁ……たぁのしみだなぁ……だぁから、もぉっと強くさせてぇあげるわぁ……」




