世界で1番欲しいモノは君
『ねぇ、サキはさ、好きな人いないの?』
そんなこといわれても。
『あたしそういうの興味ないから』
そう返せばあたしの右に座る親友の綾乃から不満げな声が聞こえた。
しょうがないじゃない、ほんとに無いんだから。興味。
結構長いため息をつきながらあたしは今年着たばっかの少しパリパリしてるスカートを折り曲げて机に座る。
『いーからそんな話』
もともと男っぽいあたしはそこら辺の女子と違って高校生(あーあもう16だよ、、、)になってまで全くといっていいほど恋愛に興味がない。
彼氏なんて作ったこともなくてつくろうと思ったこともない。まぁよーするに一言で言うと、
「枯れて『サ〜キちゃん!』
『、、、、、、、、、、、、はい?』
『あ、レオじゃん』
『ウッセーそのあだ名マジでやめろ』
都古 寿獅。あたしの小学生からの幼なじみで、とことん不良。頭は金髪で、制服はだらしないし香水臭いし。ほんとにまじでありえない。
『名前に【獅】入ってるし髪型とかまんまライオンじゃん?だからレオ!』
綾乃は見下したように笑いながらそういった。おこりだす寿獅の頭を見て、たしかにライオンぽいなぁ、、、なんて考えたり。だまって髪黒くしたらソコソコかっこいいのに。
中学二年で綾乃が加わって。恋愛経験豊富な綾乃はあたしにそういう系の質問しかしてこない。ハッキリ言って嫌なんだけど、やっぱり綾乃だし、付き合ってやることにした。
『なぁ、ふたりとも今から空いてるかぁ?』
『いまから?、、、へーきだけど』
『あたし無理〜!!ちょっと出掛ける用事あるから』
『そっか、じゃあふたりで、、、『綾乃がいないんならあたし行かない』
『、、、、、、』
なんか床にのの字書き始めた寿獅をほっぽってあたしは何も付いてないかばんを肩に掛けて『またあした』それだけ言って教室をでた。
後ろからなんか騒いでる教師の声が聞こえたけどシカトした。あ、そういやまだ5限目だった。あーもーめんどくさいなぁ。
ちょっと考えてサボることにした。きっとあいつならサボるだろうと思ったから。
なんであの馬鹿でウルサイライオンが脳裏に出てきたのかは知らないけど
二日後。
中間テストも近くなって勉強モードに包まれる中、あたしは一人机に突っ伏して寝ていた。
なんとなく寿獅のこえが聞こえたきがしてその方向に重い頭を回した。
『だからそこは−−−』
『あ、そっかぁ!ありがとぉー』
、、、なぁんだ。
あいつ彼女いるんじゃん。二人で勉強なんてかわいーことしちゃって。似合わないんだよその金髪には。
二人を見れば見るほど妙にイライラしてきて胸が締め付けられる感じがした。
足元から沈みそうな感覚があたしをおそって。わけも解らず顔を元の場所にもどした。勢いありすぎて頭ぶつけたかな、、、それさえも考えたくなくて必死で眠りについた。
『おい、サキ』
『、、、んぅー』
『起きろって』
『、、、あと三分、、、』
『、、、、、、、、、、、、』
『今すぐ起きねーとチューすんぞ』
ガバッ!!!!
『死ねっ!』
バコッと物凄いいい音がして精一杯力を込めたあたしのかばんは寿獅のあたまにヒットした。
『イッテー!!!!!
、、、な、なにも殴ることねーだろ!』
『じゃあ平手打ち?』
『あのなぁ!』
寿獅は頭のてっぺんを両手で押さえながら涙目であたしを見た。おまえいくつだよ気持ち悪い。
あたしは自分的に1番怖いだろう睨み方をして。
『キモいこと言うなっ!』
眠る前のイライラと今の胸の高鳴りをどう説明しようか。今までのあたしならこんな風にはならないのに!(コイツのこういう発言は日常茶飯事だ。)
あぁ もう!何なのよ!
『あたし帰る!!』
ガタッと机と椅子を鳴らせて勢いよく立ち上がる。
『帰るっておまえ、もう七時半だぞ?』
『、、、、、、へ』
『だから、おまえが真昼からいままでずっと寝てたってこと。』
寿獅は淡々と混乱するあたしに解りやすいようにそう言ってくれた。
『、、、綾乃は?』
『帰った。用あるんだと』
『、、、へぇ』
このあたしのいかにも不機嫌な声。寿獅もあたしも黙りこくって、二人の間には沈黙が流れ出す。
その沈黙を破ったのはあたしじゃなくって。
『帰るぞ』
『え』
『送るから』
いきなり腕を掴まれて引っ張られるままについていく。頑張って速足で歩くけど、やっぱり男だから寿獅のが速くて。
寿獅があたしの腕を掴む手に力を入れるたびに胸が苦しくなった。
『ねぇ、寿獅、速いよ』
家に着くまでに何回話し掛けただろう。それでも返事は全然なくて。いつものウルサい寿獅じゃなくって正直怖かった。
結局一言も話さないままであたしの家に着いた。
『、、、』
あたしはこの空気が重たくて何も言えなかった。
寿獅はなにか考え込むようにして目を伏せていて。
『、、、サキ』
不意に自分の名前が呼ばれて、その声の発信源に目を向けた。
『なに?』
そう言おうと口を開いた瞬間、あたしは抱きしめられていた
『な、に、、、?寿獅?』
『悪い、急に。でも聞いてくれ』
『、、、うん』
煩いほどに胸は高鳴って、返事するので精一杯だった。少し耳を澄ますとあたしと同じくらい速い寿獅の心音が聞こえてきて、なんだか解んないけど無性に嬉しくなった。
『俺さぁ、中学一年のときお前に惚れてたんだ』
『、、、初耳』
『だろうな、誰にも言ってないから』
寿獅は少し笑いながらそういった。確かに初耳だった。だけど『惚れてた』その言葉が過去形になってることがなぜだか哀しくて。
『離して』
『最後まで聞け馬鹿』
寿獅は自分の胸板を押しているあたしの手をいとも簡単に元の位置に戻した。
『今でも、つーか今までずっと好きだった。もちろんこれからもだけどだから、
、、、俺だけの女の子になってください。』
、、、恋愛なんてくだらない。あたしにはそんなの関係ない。
そう思ってた。ずっと。
まっすぐあたしを見つめる寿獅の顔は、今までで1番かっこよくて、凛としていた。
くだらないと思っていた恋愛が、君の言葉でこんなにもキレイに思えてくる。最高に幸せなモノだと思えてくる。
ねぇ、愛しい人
傷を負わない恋なんてこの世にはないけれど、
やってみようか無傷の恋
あたしが夢に見た甘い恋、
君とならいいかなって
思ったんだ
初めて書いたんですけど、どうだったでしょうか、、、これからも頑張っていくので宜しくお願いします!!