水面の橋
連載物をやりたいなーと思いつつ、何の案もなくぼけーっと書きました。
「ねぇ、あれを見て」
静かな波動を打ち寄せる海面を指さして、彼女が言った。
白くて細い彼女の指をたどる。
茫漠な海。
太陽からこぼれ落ちた光が、てらてらと水面に反射する。
光は白く、粒子となって密集する。そして、泡となり拡散する。
それは、恋人たちが囁き合うように緊密で、恋い焦がれるように瑞々しい。
「橋みたいね」
もう一度彼女の白い指をたどる。
水面に照り返す一筋の光が、青々とした海原に奔っている。
「ね? 白い橋みたいでしょう?」
そう言って彼女は髪をかき上げた。
漂う彼女の香りが潮の匂いと混じりあい、愉悦と憂鬱となって鼻孔を抜けていった。
絡まる鎖のように、彼女は僕の手を強く握った。
僕を求めているかのように。
僕に恋い焦がれているかのように。
僕を逃がさないかのように。
彼女が小さく頷いて、優しく僕に笑いかける。
僕は僅かに首を振って、憂いしく彼女に笑い返した。
僕たちはそれを合図に白い橋を渡り、遠い海の果てを目指す。
――ね? 白い橋みたいでしょう?
最期の彼女はそう言って笑った。
前書きの通り、今後どうなるかまったく分かりません。
展望としては、この二人の関係を掘り下げて書いていこうかなとは思っています。が、連載といいつつこれで終わりになるかもしれないですし、のんびり続けていくかもしれません。
感想、意見、アドバイス等ありましたら是非お願いします。