表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
四友  作者: 燈野
3/4

松庄友志編‐昼食‐

 竹ヶ崎光次。彼は俺の前の席に座っている。

 竹ヶ崎はよく後ろを向き、俺と話す。授業中に。

 今現在は現代国語の時間なのだが、お構いなしに俺と気象の話をする。

 「そんなに寒くねぇよな? しかも、雲だって少ねぇのに、雪とか降られたら迷惑なんだって」

 「俺じゃなくて雪に言えよ」

 「雪に訴えるよりは、お前に訴えた方がいいだろ。お前は俺の愚痴を聞いて、今から除雪をしてくれるかもしれない」

 「除雪するほどの雪もねーよ」

 その後、現国の原先生にチョークを投げられ、ぶつけられた。ちゃんと授業を聞きなさい。

 こうして四時限目が終わった。

 四時限目終了ということは、昼食の開始だ。さて、購買部にパンでも買いに行くか。

 「俺の分も買ってきて」

 「いいぜ」

 竹ヶ崎にそう頼まれたのでしかたない。……仕方なくない。絶対に買わない。

 「アンパンがいい」

 うるさいな。買わないって。

 俺は三階の購買部に行き、自分のアンパンだけを買って一の五の教室に向かった。

 別に俺は五組に属しているわけではない。春梅を昼食に誘っただけだ。

 「春梅。飯食うぞ」

 「早いよ松庄君。僕まだ買ってないって」

 春梅は困った表情になる。この顔がまた面白い顔なのだ。

 そのあと、何かを思いついた顔に変わる。

 「蘭最さんも誘わない?」

 何故蘭最が出てくるのだ。

 「仲いいんでしょ?」

 いいかもしれないけど、あいつとの話は気を抜くと弾み過ぎて物を食べることができない。でもまぁ、春梅がそんなに言うなら。

 「じゃあちょっと呼んでくるか」

 「おお!」

 何故少しテンションが上がるのだ。

 自販機の前のベンチで待っていろ、と春梅に命じ、俺は一の一に行く。

 「蘭最、お前を誘拐する」

 「はいはい、ちょっと待ってね」

 弁当を持って蘭最は俺の方へ来た。何なのだろうこの会話。

 俺と蘭最は自販機へ向かう。冷たい廊下を歩きながら。

 自販機前のベンチには、もうすでに春梅がいた。寒そうである。

 「遅いよぉ」

 さっきは早いといっていたが。

 「あ、蘭最さん。はじめまして」

 そういえば、この二人は初対面である。確かに会う機会なんて滅多にない。

 「はじめまして」

 一瞬たじろいだが、蘭最もあいさつする。

 そして、静かになる。違うクラス三人でベンチに並んで座っているこの奇妙な図。しかも、何を話したらいいかたがいにわからないので、何も話さない。

 それに俺は知っている。蘭最はゲームが好きなのだが、春梅はゲームをよく知らない。趣味が合わないかもしれない。

 しかし、この物理的に冷えていて静かな廊下に会話もなく座っていれば、俺もついでに凍えてしまう。なので、会話をすることにした。ムードメーカーになろう。

 「『地獄のサターニャ』にさぁ、『リヴァイアサン』のキャラが出てくるらしいなー」

 『リヴァイアサン』とは、シンカイ社のゲームのタイトルである。何故俺は春梅に通じない話題を振ってしまったのだろうか。

 「あー、それ知ってるー」

 春梅の頭にクエスチョンマークが浮かんでいる。

 「今日さ、サターニャ探しに行こうよ」

 唐突に蘭最は切り出した。

 え、行くの?

 高校の自販機の前って、ベンチがあるものなのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ