ロイヤル・アカデミー
ここまでは話ほぼ進んでない。
「初めまして、リリア・エルナードと申します。元は平民ですが、先月にエルナード家に養子として入りました。まだまだお作法もお勉強も拙いですが皆様の足を引っ張らないよう努力していきたいので、どうかよろしくお願いいたします。」
頭を下げ、礼をする。
受験の時の面接練習くらいでしかこんなことした事ないけど、お貴族様の礼ってなんかあるのかな。
教室内が静まり返る。貴族ばかりのこの学校で、養子とはいえ元平民の娘である私のことを品定めするような視線が突き刺さる。
「エルナード家の養子ですか……」「聞いたことある?」「エルナード家と言えば確か…以前一人息子を事故で亡くされた……」
ひそひそとした話し声が聞こえてくる。まあ当然の反応だよね。お貴族様の学校に平民の血の女が突然やってくるんだもの。
「さて、リリアさん」
担任らしき男性教師が私に向かって言った。
「あなたの席はあちらです」
指さされたのは教室の最前列の端っこ。なるほど、やっぱりここが始まりのポイントなんだ。
早速1時間目の授業に入る。
ヨーロッパモチーフの作品だから日本とは言語が違う。
だから授業の内容がさっぱり分からない!となると困るけれど、そんな心配は杞憂だった。
あくまでリリアもこの世界で生きてきた人間な訳で、ある程度の知識はちゃんとあるようだ。
言葉が理解できれば、授業の内容はちゃんと分かる。一応私、元は大学生だったからね、高校は卒業してるから。
授業が終わり、とある男子生徒が声をかけてくる。
「初めまして、リリア・エルナード嬢。僕はフィン・エルディシア」
フィン・エルディシア。このエルディシア王国の王太子でありクラリスの婚約者。
金髪碧目で乙女ゲームあるあるの正統派な王子様な見た目の男の子だ。やはりゲームと同じ。
「フィン様……!お初にお目にかかります。リリア・エルナードです。エルディシア家の御方とお話できるなんて思っていませんでした……!」
私は深々とお辞儀をした。内心では(うわっ本物のフィンだ!ゲーム通りのイケメン!)と興奮しつつも、前世の記憶と養子教育で身につけた貴族の立ち振る舞いで取り繕う。
「そんな畏まらなくていいよ。僕は君のクラスメイトだからね。リリア嬢は平民の出だって言っていたね。分からないこと沢山あるだろう。困ったことがあったらなんでも聞いてね」
フィンはにっこり微笑みながらそう言う。うわぁ、流石メイン攻略対象。イケメンすぎるな……
次の授業の後には、この学園内では下級の方の貴族の令嬢が声をかけてくる。
「リリア様初めまして、フィオナ・ベルクと申します」「マリア・クレーですわ。」「エルナ・ヴァイスです!」
「初めまして、リリア・エルナードです。」
「授業はいかがでしたか?分からないことがあったら聞いてください。」
「ありがとうございます。とりあえず今はなんとか追いつけそうです。」
「そうでしたか」「ねえ!よかったら4時間目の後のランチ、一緒にどう?」「エルナ、リリア様が驚いてしまうでしょう?」
エルナ…この子は知ってる。貴族内では下級の方の家の子ではあるけど、スポーツで優秀な成績を収めている子だ。ゲームでそんなに出てこないけど他2人に比べて何故か設定が書き込まれていた。
……そして、私たちの会話を遠巻きに眺める上級貴族のご令嬢。
やはり元平民、上級であれば上級であるほど声はかけられない。
フィン様は立場的に逆に平民にも声をかけないといけないだろうし、まあ攻略対象だしな。攻略する気ないけど。
昼休みになり、せっかく誘っていただいたランチを共にする。
流石はお貴族様の学校。昼休みが長い。限られた時間でかき込むように食べる日本のランチとは違うな。
すごくゆっくり優雅に食事をしていたのに、軽く本を読めるくらいの時間がまだある。
設定資料集にあった校内マップを思い出して校舎内を徘徊してみるか〜!
次からやっと物語が動き出します。




