覚醒めたのは無限地獄
「倒すって…ネクロマンティスをですか?」
「スザクちゃんは助けたいけど、どうしてネクロマンティスを倒す必要があるの?」
この場合はスザクを助ければ充分だがメイナスは敢えてネクロマンティスを倒すことを考えていた。
「確かにスザクを助けたいけど、その過程で倒す必要があると言うことさ。」
「もしかして倒さないとスザクちゃんが助けられないの?」
考えてみればスザクもアンデッドもネクロマンティスによって操られているのなら、倒す方が手っ取り早いかもしれない。
「ですけど相手はAランクモンスターですよ。」
だが、相手はAランクのモンスターだ。口にするのは簡単だがやるとなるとかなり難しい内容だ。
「だから僕の言う通りにして…良いかい?まずは…。」
しかしそれを承知の上でメイナスはアメジスとニナにある指示を出した。
「まずアメジスはスザクの相手を!僕が合図したらニナはネクロマンティスの腹に刃を!」
「はい!」
「分かった…!」
メイナスの指示を聞いた二人は各々の役割を果たすため杖と剣を握り直す。
「スザクちゃん!水魔法『アクア』・ボール!」
「ごぼ…!?」
アメジスは再び同じ魔法をスザクに当てる。呪文のスピードではアメジスが早いため、スザクは反応出来ずに水の玉の中に閉じ込められる。
『ギチチチ…!』
「来ると思ってた…!氷魔法『フリーズ』・ウェーブ!」
その上でネクロマンティスが先程のように切り裂きに来ると予測していたアメジスは、鎌が水の玉に触れる寸前に氷魔法でカチコチに凍らせて固めるのだった。
『ギチチチ!?』
水の玉と一緒に鎌を固められて藻掻くネクロマンティス。これで最大の武器は封じたと言っても過言ではない。
『ギチチチ…!』
それならばと闇魔法を使おうとし闇の玉を複数作り出す。だが、その直後に片方の視界が奪われてしまう。
「そうは…させないよ!」
『ギチ!?』
メイナスはスリンガーで薬液の入ったビンをネクロマンティスの目に向けて投擲していた。ただの水でさえ目に入ると痛いのに、何かしらの効果のある薬液が付着すればさしものAランクモンスターだって堪らないだろう。
『ギ…ギチチ…!?』
そして付着した薬液の効果はすぐに現れた。ネクロマンティスの巨大な身体は意思に反して痙攣を起こし動かなくなっていく。
「痺れ薬をありったけぶつけたんだよ。幾らAランクモンスターでも暫くは動けなくなるはずだよ。」
スリンガーで放ったのは痺れ薬だった。しかもAランクモンスターを動けなくさせるために、所持していた痺れ薬を全て使ったのだ。
「あとは私がモンスターさんのお腹を攻撃すれば良いんですか?」
「そうだけど的確な場所を探るためにも…。」
残された役割分担はニナが剣を使ってネクロマンティスの腹を切り裂くだけだ。しかしメイナスは他に何かしらのタイミングを狙っているようだった。
「ぬう!!」
「スザクちゃん!?」
その時スザクが分厚い氷を炎で打ち破り、両腕以外の上半身を露わにさせせる。本来の力を発揮出来ていないのか、炎は上半身を氷から出した瞬間に止まりそれ以外は凍ったままだ。
「ぐうっ…ううっ…!」
何とか自由になろうと藻掻くが正に手も足も出ない状態なため再び炎を出すか、力任せに振り解こうとしていた。
「ちょうどいい!アメジス!そのままスザクを攻めるんだ!」
「えっ!?そんな…スザクちゃんにそんなこと…それにスザクちゃんが外に…!?」
何を血迷ったのかメイナスはアメジスにスザクに攻撃しろと言うのだ。親友を攻撃支度ないのもそうだが、攻撃したら快感を覚えて炎を出し氷を砕いてしまう恐れがあるからだ。
「お願いだ!やってくれ!?」
「え…あう…ご…ごめんね!?氷魔法『アイス』・ウェーブ!?」
心優しいメイナスにも何か考えがあるからこそ、アメジスは彼の心からの懇願に後ろ髪を引かれる思い
をしながらも、出来るだけ威力を抑えた氷魔法を使用する。
「あん…やん…ひぅん…♡」
しかしそれが災いしてスザクの惜しげもなく晒された魅惑的な身体がジワジワと敏感な胸から凍りついていき、真綿で首を絞めるような感覚を味わわせスザクに喘ぎ声を出させてしまう。
「あ…ご…ごめん!?これだと返って…!?」
逆に苦しませてしまったかと反射的に魔法を止めてしまうアメジス。しかし傍らでは唸り声が聞こえてくる。
『ギチチチ…!?』
「モンスターさんが苦しんでますよ?」
唸り声はネクロマンティスが出していたが、先程と同じく何やら苦しそうに悶えていた。
「やっぱり…!ニナ、あそこの赤熱してる場所を集中的に攻撃して!」
ネクロマンティスを観察していたメイナスが、腹部の一部が赤く赤熱していることを確認しそこを狙うようにニナに指示する。
「あそこですか?」
「説明は後でするよ。とにかく今はあそこを狙って!」
「は…はいなのです!『ウィンド』!」
風のエレメントを付与したニナはネクロマンティスの赤熱した部分に向かって走り出す。
「やあああっ!」
『ギシャア!?』
鎌が凍りつき、身体は麻痺している上に腹部の赤熱による苦しみで満足に動けないネクロマンティスは、ニナの風のエレメントを付与した一閃を避けることは出来なかった。
「ふぎゃっ!?」
「ほ…炎が出て来た!?何で!?」
だが、その裂傷から大きな火柱が噴き出しニナに尻餅をつかせる。スザクを攻撃していたアメジスにも見えるほど大きく何事かと注視する。
「やっぱり…こいつスザクの魂を食べてるんだ!」
「魂を…食べてるってどう言うこと?」
「僕は最初ネクロマンティスは即死系のゴッドプレシャスで相手を殺しアンデッドを生み出してるって思ってたけど…違ったんだ!」
確信を得たメイナスは鬼の首を取ったように結論に至った経緯を話し始める。
「あの鎌は多分、即死させるのではなく肉体から魂を切り離すゴッドプレシャスなんだ!」
最初は斬られた相手が即死したと思っていたが、その実際は生物の身体と魂を切り離していただけだった。
「魂を…!?でもそれってやっぱり死ぬってことになるんじゃないんですか?」
しかしながら魂が身体から切り離されればそれは生物的には死ぬと言うことになるのではと疑問視する。
「けど、ネクロマンティスの操るアンデッドは生前の人間と同じように痛覚や感情、体温までもが残されてる…決定的だったのは死体を操らずにそのまま食べたことだったんだ。」
死んでアンデッドになるのなら幾つか矛盾点が存在しており、決定的なのはまだ肉体的に生きている身体と既に死んでいる身体とでは扱いが異なることだった。
「僕が考えたのはこうだ。ネクロマンティスは鎌で相手の魂を刈り取り捕食し、食べた魂が入っていた肉体だけを操ることが出来る…死体を食べたのはその人間の魂だけは食べ損なったからじゃないかなって。」
ネクロマンティスは相手を即死させ無差別にアンデッドに変えていたのではなく、食べた魂の肉体だけを操っていたのだ。
「でもそれってスザクちゃんの魂は抜かれたことになるんだよね…例えネクロマンティスを倒しても魂が戻るかどうか…。」
ここまでは憶測通りだがどちらにせよ魂を抜かれたことは確かであり、ネクロマンティスを倒してもスザクの魂が彼女の肉体に戻るとは思えない。
「忘れたのかいアメジス?スザクは何を継承してるんだっけ?」
「何って…あ!」
しかしながら魂を抜かれて死ぬのなら、今のスザクとは矛盾してる所がある。
「フェニックス…!不死鳥だから死ぬことがない!?」
不老不死と再生の象徴である不死鳥。スザクはその力を持っているため、決して死ぬことはないし魂を抜かれたとしてもすぐに蘇生するはずだ。
「あれ…でもそれだったらどうして…。」
「そこがおかしいと思った所さ。多分この状態は死んでいるのではなく、まだ生きている状態なんじゃないかなって。そうでなければ今すぐにでも再生するはずだよ。」
不死鳥が再生の力を使うのは負傷はもちろんだが死ぬようなことがある場合だ。生きている状態ならばその力は必要ないはずだ。
「つまりスザクは殺されてアンデッドになったのではなく、魂と肉体を別にされ、生きている状態の身体は操り人形になったんじゃないかって。」
「じゃあスザクちゃんの魂は…。」
「あそこだよ!食べたんならお腹の中に行くはずだからね!」
それならスザクの魂は何処に行ったと言うことになるが、先程の火柱の正体こそ食べられたスザクの魂から放たれた物だった。
「だからスザクちゃんを攻撃してって言ったんだね。スザクちゃんを気持ち良くさせるために…。」
「そう。心苦しいけどそうしないと確認の仕様がなかったからね。しかしまさか魂になってもスザクはスザクってことだね。」
赤熱させて本当にスザクの魂を食べてるかどうか確認したかったが、まさかこんな所で彼女のマゾな性癖が役に立つとは思わなかった。
「さて、後はニナが付けてくれた傷口からスザクの魂が出るのを…。」
『ギチチチ!』
スザクの魂が入った腹部を切り裂いたため後は魂が戻るだけなのだが、ネクロマンティスは痺れも氷も振り払うように暴れていた。
「あ…あの!?まだ痺れ薬効いてますか!?」
「そんな…まだ効果はあるはずなのに…。」
振り払うどころかそもそも身体が動かないはずなのにネクロマンティスは復讐の鬼の如く暴れていた。まだ痺れ薬が効いている間にスザクの魂が肉体に戻ると思っていたメイナスも唖然となる。
「…しまった!傷口から噴き出したスザクの炎が痺れ薬の効果を打ち消し、傷口も塞いでしまったんだ!?」
場所を把握するつもりでスザクに快感を与え、ネクロマンティスの腹部に傷をつけさせたのだが、再生の炎が皮肉にも傷口と麻痺を跳ね除けてしまったのだ。
「そんな…これじゃ助けられない!?」
「ニナ!もう一度攻撃を!」
「は…はいなのです!?」
スザクを助けるはずが皮肉にも彼女のフェニックスとしての力が自分達の首を絞めていた。しかし助ける方法は分かったため、再びニナに攻撃をして貰うことにする。
「ひにゃ…!?か…影が触手みたいに…!?」
ところがニナの影が触手のように足に絡みつき、そのまま太腿を蛇のように這い回りながら彼女の身体へと登ってくる。
「闇魔法…ぐっ、僕にまで…!?」
「ニナちゃん!?メイナス兄さん!?」
気が付くとメイナスの影も触手のように巻き付いて動きを封じてくる。
「アメジス、逃げるんだ!?鎌が…むがっ!?」
「はっ!?」
メイナスは顔に影の触手が巻きつきながら叫ぶも既に手遅れだった。ネクロマンティスの鎌はアメジスの身体に小さな傷をつけるも、その際に魂を肉体から抜き取ろうとする。
『ギチチ…?』
ところが不可解なことが起きた。ネクロマンティスは確かにアメジスの魂を刈り取ったはずだ。それなのに捕まえたはずの魂が鎌には引っ掛かっていなかったのだ。
『ギチチチ!』
それならばと鎌を二度三度と振り回しては魂を抜き取ろうとする。しかしそれだけやっても手応えはなく全て空振りに終わるのだった。
『ギチチチ…!!』
ほんの偶然かと思えば何故か上手くいかない。いつもならこれで魂を奪えるはずなのにとネクロマンティスは苛立ちを募らせ、思い切って心臓を貫くかのように鎌を振り下ろす。
「…邪魔しないで。」
『…!?』
ところが振り下ろす相手は獲物となる少女のはずなのに鎌がネクロマンティスの意思に反して止まってしまう。メイナスに痺れ薬を浴びせられた訳でもないのにだ。
「そんなに…楽しい?」
『ギチチチ…!?』
痺れ薬とは異なる物がネクロマンティスの動きを止めていた。他者による働き掛けによる制動なら分かるが、今度のはまるで絶対的強者を前にしたかのような圧倒的な圧力からだった。
「…スザクちゃん…そろそろ起きよう。」
「…!」
いつもと違う雰囲気を醸し出すアメジスは脇腹をくすぐるように撫でるためにビクリとなるスザク。
「はぁ…んむ…♡」
「んんっ…♡」
一呼吸置いてからアメジスは何を思ったのかスザクに口づけをする。スザクもそれを知ってか知らずか再び身体がビクリとなる。
『ギチチ!?』
それに呼応してネクロマンティスが食べたスザクの魂が再び燃え上がり腹部を赤熱させる。
「ぷはっ…まだまだだよ…スザクちゃん…♡」
「ひゃ…ひゃい…むぐ…♡」
一度唇を離すアメジスは舌舐めずりしながら借りてきた猫のようになるスザクに再び口づけをする。
『ギ…ギギギ…!?』
その瞬間にネクロマンティスの腹部が発火しそのまま燃え広がり始める。しかしその体はフェニックスの再生の力によって決して肉体が滅びることはない。
「んぐ…んぐ…ぷはっ…甘くて…美味しい…♡覚悟してぇ…もう…好きで好きで…堪らないのぉ…♡」
アメジスはスザクの魂を死ぬまで吸い続けるような口づけをして彼女を絶頂させる。しかしスザクは死ぬことがないため、絶頂の無限地獄を与えられることにエクスタシーを感じていた。
「ひ…気持ち良い…んぐ…♡アメジスぃ…もう…あたし…死んじゃいそう…んう…あん…♡」
そしてスザクは快感と快楽の引き換えに自身の魂を吸い上げるられるような絶頂に悶絶していた。あまりの絶頂に身体が蕩けて死んでしまいそうになるが、身体は再生され死ぬこともないため永遠に快楽地獄を味わうこととなった。
『ギチチチ…!?』
ネクロマンティスのことなど気に留めず二人は口づけを続ける。しかしネクロマンティスは二人が甘い無限地獄を満喫しているの対し、こちらはスザクの炎による破壊と再生の無限地獄を味わっていた。
『ギシャア!?』
もはやアメジスの肉体は要らないとそのままスザクごと丸呑みにするネクロマンティス。
「んぐ…それでぇ…邪魔した…つもりぃ…はぐ…♡」
「んん…アメジス…あたしはもう…♡」
火ダルマになったネクロマンティスの身体の中を二人で滑り落ちていく。しかしそんなので二人の口づけとは止まらず、寧ろスザクの炎によって二人はより熱く燃え上がり体の境目が見えなくなるほどに抱き合っていた。
『ギシャアアア!?アアアア!?』
無限地獄が終わるどころか炎はより熱と激しさを増し、ネクロマンティスを容赦なく焼いていく。しかし決して肉体は滅びず、死ぬこともなく死神のような力を持ちながら地獄を彷徨う羽目になってしまう。
「ぶはっ!?な…何だ!?」
「モンスターさんが…燃えてます!?」
もはや魔法を使う余力もなくなり、影の触手の拘束を振り払ったメイナスとニナはネクロマンティスが業火に焼かれているのを見て唖然となる。
「スザクちゃん…私…♡」
「アメジス…あたしもぉ…♡」
互いにピンクのハイライトを目に浮かべ見つめ合い、炎にも負けないほどに火照った身体を重ね合う。
「ああ…もう…♡」
「気持ち良いいぃぃ♡」
二人は頭が弾け飛ぶような快感と共に炎に包まれ、ネクロマンティスの身体を一気に爆発させる。
『ケエエエン!!』
「こ…これは…火の鳥…!?」
「ちょ…スザク、まさか!?」
ネクロマンティスの身体が炎と共に爆発し、その中から炎の鳥…フェニックスが巨大な翼を広げて高らかに吠える。こんなに大々的に出現してはもはや隠し通すことは出来ないだろう。
『ケエエエン…!』
やがてフェニックスは翼を閉じて丸まると小さくなり、やがて生まれたままの姿となったスザクが同じく生まれたままの姿のアメジス似添い寝する形で倒れる。
「今のは…。」
「あ…その…ニナ、あのね。」
取り敢えずネクロマンティスは炎と共に爆散し、今度こそ倒されたため一安心するもニナは先程見た火の鳥のことを口にする。
「あの…フェニックスなんですよね?スザクちゃんは。」
「そう、スザクは…あれ。」
何とか弁明するか本当のことを言うか迷っていたが、ニナはスザクがフェニックスであると知っていたような口振りをするためメイナスもキョトンとしてしまう。
「な…何でスザクのことを…?」
「あの…スザクちゃんがフェニックスだからまず死ぬことはないって所が聞こえたので…私、獣人なのですので…。」
「あ…。」
確かにそんな話をアメジスとしていたが、ニナは離れた位置にいたため聞こえてないと思っていたが彼女の獣人としての聴覚の鋭さを侮っていたようだ。
「…あの…話し難い内容だったら何も…。」
「いや、この際だから君にも教えておくよ。でも他言無用で頼むよ。」
「は…はいです!」
メイナス達の気を遣ってくれたのだろうが、中途半端にしか事情を知らない上に本物のフェニックスがスザクになる所まで見てしまったためキチンと説明することにする。
「…と言う訳で、スザクはフェニックスの力を継承してるんだよ。」
「そんなことが…じゃあアレキス先生が言っていたフェニックスのゴッドプレシャスをスザクちゃんが?」
掻い摘んでスアメジスが卵から孵ったスザクに立ち会い、その上で教会で過ごしていたと話すのだった。
「ただスザクの力を狙っている人もいるから秘密は少ない方が良いと考えたんだ。だから…。」
「はい!スザクちゃんのためにも…秘密にします!」
「ありがとう、良い子だね。」
「にゃへへ…。」
取り敢えず友達のために秘密を守ってくれるらしく、メイナスもニナに対して笑顔で感謝し彼女も照れくさそうにモジモジとしていた。
「お前ら、無事か!…って、何だこりゃ!?」
そこへボロボロになったレイラとアレキスが部屋の中に入ってくると、焼き焦げたネクロマンティスとあられもないスザクとアメジス、更に互いに微笑み合うメイナスとニナを見てギョッとなる。
「ああ、レイラ。」
「メイナス!お前さてはスザクとアメジスにその…エッチなことしたのか!?」
「はひっ!?ちょっと何を言ってるのさ!?家族みたいな物でしょう!?」
「無事で良かった」と言おうとしたがレイラの不謹慎極まりない台詞にズッコケるメイナス。
「生徒同士の不純異性交遊は厳禁だぞ!」
「違いますよ先生!?」
運悪くそれを聞いていたアレキスが咎めるように叫ぶためメイナスも強く反論する。しかしながら見方によってはスザクとアメジスを襲い、更には幼気なニナにまで手を出そうとしているようにも見える。
「あの…スザクさんの炎が強過ぎてお二人は裸なんですよ。」
「そうなのか?」
「なははは、冗談ですよ先生。冗談。」
ニナの発言でアレキスの誤解も解け、レイラもやっぱり冗談半分であんなこと言ったと笑っていた。
「時と場合を考えてよレイラ!」
「悪い悪い。でもまあ、こんなヤバそうな状況が終わったからこそ笑い事で済ませられるんだけどな。」
冗談はこれくらいにして焼け焦げたネクロマンティスを見てレイラも息を呑んでいた。
「こいつはAランクモンスターのネクロマンティス…こいつを倒したのか?」
「スザクとアメジスのお陰ですよ。そう言えばレイラ達は大丈夫だったの。見たところ激しい戦いだったみたいだけど…。」
「ああ、途中で他のオーク達も集まったが…全部討ち取ったぜ!」
そう言うと倒したオークの頭を転がす。レイラもアレキスと共にボロボロになりながらもオークの軍勢を相手して勝ったようだ。
「んん…ふぁ〜…よく寝た…あれ、どうなってんの?」
「スザク!アメジスも!」
ここでようやくスザクとアメジスが起き上がり何があったかキョロキョロしていた。
「そうだ!ネクロマンティスは…!?」
「大丈夫、もう倒されたよ。」
これまでネクロマンティスと戦っていたことを思い出し慌てていたが、メイナスが全て終わったと落ち着かせる。
「え…いつの間に…。」
「ん?何も覚えてないの?」
ニナとメイナスは最後辺りしか見てないが、少なくともアメジスとスザクが何かしたと思っていたがアメジスは何も覚えていなかった。
「そうだ!スザクちゃんは?」
「ん〜?何か気持ち良いことがたくさんあったと思うけど何も…でも…えへへ…気持ち良い感触はまだ…♡」
スザクもスザクで何があったかは覚えていないようだが、快感の余韻は身体が覚えていたらしく思い出す度にモジモジしていた。
「…!スザクちゃん!元に戻ったんだね!」
「わっ!?ど…どうしたんだ?」
スザクがいつも通りのスザクに戻り、抱き着いても拒絶しないことにアメジスは嬉しさの余り頬擦りしてくる。
「何がどう言うことなのだ?」
「それは僕から…と言うか二人ともその格好は…。」
「え?…きゃあ!?」
「ありゃ?」
メイナスとアレキスが気を利かせて目を逸らすが、アメジスとスザクは自分達が裸であることに気が付くのだった。
「ふむ…魂を刈り取って、残された肉体を操るとな?」
「戦って分かったんです。ネクロマンティスの本当の力が…。」
取り敢えずスザクとアメジスが着替える間にメイナスは手に入れたネクロマンティスの情報を報告していた。
「それで残ったのがその男だけです。」
「こいつ結局何者なんだ?」
側には包帯を巻かれて虫の繭のようになった男が寝かされていた。スザクの炎でついでに復活しメイナスの応急処置を受けた後で、今はダメージによるショックで口が聞けなかった。
「分かった。こいつは我々で取り調べるとしよう。しかしながら今回のレッスンクエストは空振りのようだな。」
「空振りって…そっか、最初はバジリスクを追ってたもんな。」
そもそも今回のクエスト内容は二つ名のバジリスク『白い死神リッチ』の捜索だったが、いたのは同じ死神のような力を持つネクロマンティスだけだった。
「だが、明らかな異変であることは確かだ。あれほど大きなネクロマンティスは初めて見た。それにあれほど大きな個体ならこんなダンジョンにずっといるはずがないんだ。」
「どうしてですか?」
「身体が大きいならそれだけの餌を必要とするはず…それにダンジョンのこの部屋の跡も最近残された物だな。」
ダンジョンの部屋の壁や床には鎌の跡が幾つかあるが、どれもこれもまだつけられて新しい物ばかりだった。
「恐らくこのネクロマンティスは何者かの手によって連れ込まれた線が濃ゆいだろう。」
「連れ込まれた…まさかこの人達が?」
アレキスはスザク達が散り散りになった際に召喚魔法によるトラップを使っていた男達が怪しいと睨んでいた。彼らなら同じ召喚魔法を使ってネクロマンティスを連れて来ることは可能なはずだ。
「事情はこいつから聞くとして…お前達に言っておくことがある。」
話を切り替えるようにアレキスは神妙な面持ちで一呼吸置いてから口を開く。
「こんな状況でよく五体満足で生き残った!お前達はCランクモンスターは愚かAランクモンスターまでも討伐した!ギルドカードを見ろ、既にCランクにはなっているはずだ!」
「あ、本当だ!」
アレキスに言われるがままにギルドカードを確認するとランクの項目が全員Cランクになっていた。
「お前達ならばきっとこれからの困難も突破出来るはずだ!自信を持て!」
「「「はい!」」」
レッスンクエストは失敗してしまうもそれ以上の結果を残しアレキスもスザク達もご満悦で学校へと帰るのだった。




