9.鬼将校2
魔法騎士団に来て2週間が過ぎた。
相変わらず氷みたいな冷えた笑みしか見せてくれない皮肉ばかりのデュトワ少佐は一向に優しくならなかった。
だが私もあんな嫌味な奴の為ににいちいち落ち込んでなんかいられない。
だんだん慣れも出てきて、最近では口を尖らせないようにするのが精一杯だ。
ロベール先輩曰く
「デュトワ少佐は本当は団員に優しいんだよ。僕も何度も少佐に庇われたり助けられたりしているし。ただ、前のバルベ魔導師とちょっとトラブってしまった後だから、ノア君にあたりが強いんだと思う」
なんだそうだ。
そんな知らない魔導師の後任だというだけで八つ当たりされても困ってしまうのだが。
今日は剣の練習をした。
剣を握るなど初めてのことだ。
軽めの剣を持ったにも関わらず、私は素振りだけで腕が痛くなり、フラフラになっていた。
「おや。魔導師様は剣も満足に持てないんですね」
と言われた。
ムッとしながら黙ってブンブンと素振りを続けると
「討伐に行っても魔導師は高度な魔法で自分の身を守れるでしょうから、私は絶対に助けませんよ? ああ、貴方は私達を導き助けるんでしたね。それが魔導師団から引き受けた仕事ですもんね? そうでしょう? 魔導師様」
と楽しそうに笑っていた。
──何よ! ネチネチネチネチと!
嫌味ばっかり!
蛇みたい!
笑うなこんちくしょう!
訓練が終わると思いっきり胸のうちので罵ってやりながら、私はいつものように汗塗れのままトイレの個室でジャージを着替えた。




