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8.鬼将校

「はあっ! はあっ!」

「おーい、ノア君頑張れー!!」


 騎士団の広い訓練場では朝から鍛錬と称したランニングが始まっていた。


 勿論、魔導師といえど同じ第3部隊室で過ごす私は皆と一緒には走っているのだが、彼らと私では基礎体力がまるで違う。

 いや、私もよく野山に入って薬草の採集はするけど、こんな仮面つけながらジャージ着てグラウンド10周とか普段絶対しない。


 ヒーヒー言いながら、汗だくで走っていると待っていたのはあの冷たい笑顔のデュトワ少佐だった。


「随分と非力な魔導師ですね。これで私達を戦地で導けるとでも?」

「はあ……はあ……」


 呼吸がか苦しくて返事もできなければ反論も出来ない。

 心配してくれたロベールさんから水を受け取ろうとすると、その水の入った水筒ごと少佐が取り上げた。


「……先輩に謝意も示さないのですか?」

「すみません。有り難う御座います、ロベールさん」

「ロベール()()、でしょう? 何処まで礼儀がなってないのだ魔導師というものは」

「すみません少佐。有り難う御座います、ロベール先輩」


 無理矢理息をしながら何とか少佐の話に答えた。

 その様子をハラハラしながらロベールさんは見守っていた。


 やっぱり少佐は怖かった。

 何、あの氷みたいな笑顔。

 目がぜんっぜん笑っていない。


 もう少し時が経てば優しくなるのだろうか。


「ちなみに君はどの程度の魔法が使えるのです? 試しにあの木に火をつけてみてもらえますか?」


 少佐の指示で汗だらだらのまま、私は一般魔法の火魔法を木に向けて発動したが、枝が程よくパチパチと燃えて炭化して落ちた。


「……冗談でしょう? 今時の学生でももっと火力高いですよ?」


「ぜー……ぜー……私の……家は……独自……魔法で……」


 反論しようにも、呼吸すらままならない。

 せっかく息を整えたのに、魔法を使ったらまた呼吸が乱れてしまい、声が出なくなった時点で説明をするのを諦めた。


「もういいですからランニングに戻りなさい」


 ──貴方がやれって言ったんじゃない!

 と思ったが、重い足を引きずって私はまた走り出した。


 ついでに朝入ったばかりなのに汗塗れになっている事に気づき、私は絶望した。


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