48.邂逅
目が覚めると、真っ白な空間に私は寝転んでいた。
真っ白で何もない。
温かいような冷たいような不思議な空間だ。
「どこだろう、ここ」
見上げると空はない。
だけと決して暗くはなく、壁の無い真っ白な部屋にいるような感じがした。
見渡すが何にもない。
終わりのないような空間の中で、取り敢えず上半身を起こすと自分の体が見えた。
手をグッパーして、動くことを確かめていると、頭上で女の子の声がする。
「阿呆」
「……だれ?」
虹色を帯びる銀の髪とブルーの瞳。
真っ白な長い布を纏った少女はケラケラと笑った。
──この子、何処かで見たことがある……?
座っている私の回りをくるくるパタパタと走り回ると、彼女は私の前にしゃがみ込んで頰杖をついた。
「死ぬとわかっていたであろう?」
「え」
「後先考えずに妾に会いに来るとはの。少しはオレリアを見習え愛し子よ」
ニカッと笑い、彼女は私の顔を覗きこんできた。
ブルーの瞳はとても綺麗で、よくよく見ると、瞳の中にはまるで宇宙のようにたくさんの星が見える。
「……ふむ。おぬしまだ子をもっていないではないか」
「子? だって私、結婚してないもの」
「ならばますます妾の元に来てはならぬ」
彼女はそう言うと立ち上がり、踵を返し顔だけで振り向いた。
「好いた男はおろう。目を見ろ。言葉を交わせ。愛を育め」
「……育む? でも、もう遅いわ……彼は……」
「言葉を交わせと申しておろうに。何のために人に言葉を与えたと思うておるのじゃ」
「……言葉を交わす……」
彼女は私に指差すと、また笑った。
「次に繋げ」
「……貴女……もしかして」
「妾の眷属は皆、特別な魔力を好んで喰らう。天上では妾の。地上ではおぬしらのような一族のな。途絶えさすな」
「待って! 私は……」
「おぬしの願いには応えてやろう、愛し子よ。随分と遊び相手になってくれたようだからな。だが妾はいつも見ておる。眷属の力は妾の力。地は妾が用意した眷属の遊び場。おぬしが妾の世界を乱さぬ限り、妾の意思に反しない限り、妾はそなた達を見守ろう」
キラキラとした光が渦を巻き、彼女は笑いながら溶けていく。
「待って! 女神様……!!」
「またな、妾の愛し子よ」
彼女の姿が光に溶けた瞬間、私も真っ白な世界の一部に溶けていった。




