46.魔法と戦い
大きなワイバーンな体から鮮血が一気に吹き出した。
真っ赤な雨が体から降り注ぎ、慌てて防御をしていた魔導師による結界が施される。
たくさんの氷の柱に串刺しになったワイバーンが白目を剥いて地上に向かって落ちてきた。
「やったぞ! 奴を仕留め……っ」
巨大な体が空から落ちはじめた一瞬、背中を冷たいものが走り、喚んでいない筈の妖精エアリアルが耳元で囁いた。
ワイバーンの瞳がグルンと回り、ギラリと光を取り戻す。
ゴオオオオっ!!っと火炎柱を地上に落とした。
瞬時に左手を掲げ、誰よりも早く魔法陣を描く。
「おいでジャックフロスト!! ワイバーンの体内を凍らせて!!」
ポンっと音を立てて火を吐き終えたワイバーンの前に現れたのは真っ白な雪だるまだった。
召喚されたジャックフロストの体がグググっと大きく大きく膨れ上がり真四角な口からワイバーンの口の中目掛けてコォォー!!と吹雪を吐き出す。
ワイバーンからパキパキと音がし始め、吐き続ける吹雪はやがて体内を巡り、鱗まで霜で覆われると一気に巨大な氷となり、地上へドスーンっ!!と轟音を立てて落ちた。
「やった……?」
私達はそのまま氷漬けのワイバーンのところへ走った。
「はあ、はあ、見てダルトワさん!」
「完璧に凍ってる……心の臓を止めた」
私達は汗塗れになりながら、肩で息をし、でも顔には笑顔が浮かんでいた。
「ノアちゃん……」
ふと、ダルトワさんの顔に影が差した。
視線を追ってゆっくりと私も見ている先に目をやった。
焦げた草。
散らばる火傷だらけの人間の身体。
あちこちで倒れているのは、見慣れた第3部隊の団員ばかりだった。




