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44.緊急討伐

 暗く沈んだまま、頭がぼーとして仕事が手につかない状態が続いた。

 頭の中は、あの金髪の美しい人の笑顔がこびりついて離れない。手に持ったペンのインクはいつの間にか乾いていた。


 2時間程過ぎた頃、リオット大尉が第3部隊室へとやって来た。

 何か慌てふためいた様子でミシェル様と共に部屋を後にし、昼前に一人で戻って来たミシェル様は厳しい表情で緊急の討伐遠征を告げた。


「現在第1、第2部隊が先行して行っている討伐遠征に、急遽第3から第5部隊が追加で行くことになりました」


 随分と急な討伐遠征に、何があったのか皆ミシェル様を見ていたが、ミシェル様は厳しい顔をしたまま淡々と続けた。


「準備が整い次第直ぐに向かいます。討伐対象はワイバーンの群れですが、1体規格外の大きさのものがいます。報告によると大きさだけで言えば絶滅したドラゴン種に匹敵するとのことです」


 室内は一瞬ざわついたがミシェル様の視線ひとつで誰もが口を噤んだ。


 ドラゴンは今から約500年前に討伐の上絶滅されたとされている。


 かつはて生きる神とも言われ鋼鉄の鱗と莫大な魔力を持っていたドラゴン。

 ワイバーンは姿形はドラゴンに似ているだけで人間よりは大きいものの普通に討伐が出来る魔物だ。


 ドラゴン並の大きさのワイバーンなど見たことがない。

そもそもそれだけ大きなワイバーンにどんな魔法や攻撃が効くのかも未知数だ。

 先に現場に入った第1第2部隊の団員が苦戦しているのも頷けるが、本部にある10部隊のうち半数を動かす程の事件に不安感を抱くものも少なくないだろう。


「全隊員直ぐに準備に取りかかってください」


 号令とともに一斉に皆準備に取り掛かった。

 私も余計な事を考える間もなく、討伐の準備に奔走した。


 今回は緊急のため、魔法団にある大型の転移門に大量な魔力を流し込んで作動させる緊急転移門が使用され、3つの部隊に医療班、大量のポーション類や大砲等の大型兵器を持ち込み、私達は町を経由せず直接現地に赴いた。


 現地に移動するなり、私は口を開けたまま体が固まった。

 誰もが言葉を失った。


 山の如き大きなワイバーン。

 その周囲には群れと思われる小さなワイバーンが無数に飛んでいる。


「総員、計画通り位置につけ! 医療班は急ぎ第1第2部隊へ!!」

「サー! イエッサー!!」


 冬の少ない日射しが遮られ、見たこともない程大きな魔物に空が覆われる。

 翼をはためくだけで強い風が巻き起こる。

 第1第2部隊の団員は既に怪我人か多く出ており、現場は騒然としていた。


「ギャアアアアアア!!!」


 地鳴り見たいな雄叫びに地が揺れ耳が引き裂かれそうになったが、前方でミシェル様が魔法剣を繰り出す準備に入っているのが見えて私は足をふんばった。


 これだけ大きな魔物に対抗するには、それなりの魔法を使わなければ対応できない。

 攻撃をミシェル様達魔法騎士が行うのであれば、私達魔導師はサポートに回らなくては。


「「氷結魔法・アンティエグラセ!!」」


 ミシェル様と共に複数の団員が氷魔法を一気に繰り出すと、巨大なワイバーンの腹が3分の1程氷で覆われたが直ぐに氷はバキバキに割れ、空に散っていく。


 腹を冷やされた巨大ワイバーンはぐんっと首をこちらに傾けたかと思うと、大きく口を開けた。


「結界!!」


 反射的に空に手を掲げ魔法結界をかけると、ワイバーンの巨大な口から炎の雨がドババババ!!と降り、弾かれた炎を再び空に舞い上がり霧散した。


「なによあれ……本当にドラゴンみたい……!」


 次々に魔法騎士達による氷魔法が繰り出されたが、直ぐに氷は剥がれ落ちてしまう。

 あまりの大きさに本体を一撃で仕留めるのが難しいのだ。


 そして巨大なワイバーンに集中しているうちにあたりには他のワイバーンが空から降りてきて、団員目掛けて火を放ち始めた。    


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