37.決心
翌日、朝から山は雲一つない青空だった。
魔法騎士団一行は朝からバグベアを討伐したエリアまで登り、そこから魔法ダウジングて魔力を辿り、さらに山を登った。
私は列の真ん中を歩くミシェル様を後ろから何度か見ながら足を進めていたが、隣を歩いていたダルトワさんが笑いながら話しかけてきた。
「ノアちゃんは、デュトワ少佐が気になるのかい? 随分と気にしておるのう。恋かな?」
目を細めて楽しそうにきかれたが、私はミシェル様を見ながら、表情を変えずに答えた。
「ダルトワさん、私、ミシェル様に嫌われたくない……」
「ん?」
「気付いたんです。私、もっとお役に立ちたい。第3部隊のみんなを助けたい」
「……ノアちゃん?」
「ダルトワさん。私、魔導師だけど、召喚術以外人に誇れるものがないんです。どうしたら、ミシェル様のお役に立てますか?」
「……君は、黙っておれば何もせずとも皆に感謝されるるじゃろうに。それでは足りんと?」
「感謝されるとしたら、それはお祖母様の教えにだわ。私は何にも出来ていない。私の力でミシェル様を支えられていない。私には、魔導師として誰かを支えられる力がない」
そう言うと、悔しくてぎゅっとリュックの紐を握りながら、私は俯いた。
魔法騎士団に来て、毎日一生懸命に頑張っていたつもりだったけど、いつだって私は誰かの手を借りていた。
そして、何よりいつだって側でミシェル様が支えていてくれた。
私が魔導師として第3部隊にあり続けられたのは、ミシェル様と皆のお陰だ。
ならば、今度は私が返す番だ。
明日になるか、何ヶ月後かになるかは分からないけど、私自身が力をつけて、きちんと自分の足で立たなきゃ駄目なんだ。
「……全く君はお祖母様と本当にそっくりだね。どんなに落ち込んでも必ず前を向こうとする」
「ダルトワさん……」
「オレリアさんに怒られてしまうかも知れんがなぁ……良かったらワシが教鞭をとろうかの?」
「本当ですか?!」
「リオット大尉とデュトワ少佐を説得せねばのう。大尉はともかく少佐は大変じゃぞ?」
「頑張ります。頑張るって決めたから」
優しいような笑みを浮かべたダルトワさんに私は深く一礼し、また山を登り続けた。




