4.第3部隊
デュトワ少佐がいなくなった第3部隊室の大部屋で、私は沢山の団員に取り囲まれ、涙目になっていた
「名前、なんだっけ? もう一度言えよ」
「ちっこい奴だな。飯くってんのか?」
「お前独自魔法使えんの?」
次々に飛ぶ質問に、私の唇はブルブルと震えた。
みんな大きい。
大きくて怖い。
知らないルドルフおじさんがたくさんいるみたい。
お祖母様、ノアはどうすれば良いのでしょう。
どうしていいの分からずにいると、「あんまり取り囲むと怯えちゃうよ」と言って、輪の後ろからスッと入って来た男性が手を引いてくれた。
「初めましてブランシュ君。俺はロベールっていうんだ。少佐にいきなり怒鳴られて、びっくりしただろ」
「……いえ。私の配慮が足りませんでした。前もって言うべきだったのに」
「ははは! 初めてだから仕方ないよ。次からはここにいる皆に相談するといいよ。でっかいやつが多いからビビるかもしれないけど、気のいい奴らだ」
にっこりと微笑まれ、私の震えもやっと止まった。
茶色の髪をした朗らかな笑顔のロベールさんに、やっと緊張の糸が緩み始める。
「皆で名前で呼んでも平気?」
「平気です!」
「んじゃ、ノア君だな」
──うん。怖がってばかりじゃいけない。
頑張るって決めたじゃない。
この人は優しそうだ。
それに体が大きいだけでみんないい人そうだし(デュトワ少佐以外)、きっとやっていける。
「有り難うございます! 改めて私ノア・ブランシュです。仮面を外せず大変申し訳ありません! 一生懸命頑張りますので宜しくお願いします!」
良かった。
ちゃんと挨拶出来た。
団員の皆さんは私の拙い挨拶に大きな拍手をしてくれて、各々の仕事に戻った。
──ほら、人は見た目じゃないわ。
大きくてもみんな優しい。
こんな仮面をつけた不審な私を迎え入れてくれたんだもの。
部隊の人の為にも早く仕事覚えて頑張らなくちゃ!
一人グーを握りしめ、鼻息を荒く奮起していると、トントンと指先で先ほどのロベールさんが肩をつついた。
「さてと。ノア君。せっかくだから、僕が仕事を教えようか。大丈夫?」
「はい!宜しくお願いします!」
仕事は雑務が殆どで、ロベールさん曰く、魔物の討伐が無い限り、普段は事務と稽古がメインなのだそうだ。
朗らかなロベールさんのお陰で、なんとか私は初日の仕事をやり終えた。
「仕事は後1時間もすれば終わりだけど、寮の位置は分かるかい?」
「あ……えっと」
「うん。わかった。案内しよう。せっかくだから他の施設もね」
ロベールさんの後に続き、私は館内を観て回ることになった。




