28.ベルナール・リオット大尉
スラリとした体躯に、整った容姿の将校は顎に手を当て少し長めの金髪を揺らし首を捻っていた。
「君達、どこの所属?」
「……はっ。第3部隊です」
私が答える前にロベール先輩が答えてくれた。
「ん゙ん~~? ミシェルんとこ? 後ろの君さあ、それ魔導師団のローブだろ?」
「……はい」
少し怖くて、自然と言葉が小さくなる。
「あいつんとこの魔導師っていったら、仮面つけたひ弱そうな坊やで……まさかあの仮面の子、君か?」
「……はい」
「……っはは!」
ビビリながら答えると、目の前の将校は大きな瞳を瞬かせて満面の笑顔で距離を詰めてきた。
綺麗なグリーンのアーモンドアイにじっと顔を覗き込まれる。
「嘘だろ?! 女の子っぽいとは思ってたけど、マジで女の子だったの?!」
「ちょ……?!」
急に手を握られ、私は激しく動揺した。
──誰?!
なんで手を握るの?!
すると突然片膝をついたリオット大尉は私の手の甲にキスをした。
なにこれ。
今この状況が全く理解出来ない。
「初めましてお姫様。俺はベルナール・リオット。第5部隊の管理者で大尉やっています」
「……は、は、初めまして。リオット大尉。わ、私は……第3部隊魔導師のノア・ブランシュ……わあっ!」
立ち上がると至近距離まで突然顔が寄せられた。
「ほんと、第3部隊にこんな可愛い子がいるなら入団直後に会いに行っていたのに……でも君、男子寮にいなかったっけ?」
「……しょ、諸事情ありまして……あ、あの、近いので、顔を離して頂けますか?」
「ふーん……これくらいで赤くなっちゃうんだ。じゃ、まだ俺にもチャンスあるかなあ」
「チャンス?」
パチクリと目を瞬かせていると、ロベール先輩が私の腕を引っ張り背に隠してくれた。
「失礼ながら大尉。彼女は大事な第3部隊の魔導師です。不用意に近づかないで頂きたい」
「大事な、ね? ま、今は一旦引いてあげよう。ミシェルに後で行くって伝えてくれる? じゃあねノアちゃん」
パチンとウインクすると、彼は足早にその場を去って行った。
呆然とする私の横で珍しくロベール先輩は怒りに満ちた顔をしていた。




