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27.仮面をはずす日

 引っ越しの翌日、ついに第3部隊で私の性別の公表の日がきた。


 朝、まっすぐ第3部隊室の将校執務室に行き白猫の仮面を外して、ミシェル様から買っていただいた魅了封じの縁無し眼鏡をかけると、視界がクリアに広がった。


 手鏡を見ながら、少しだけ緊張した面持ちの自分に伝える。


「大丈夫。頑張れ」


 窓から零れる朝日が眩しい。

 深呼吸していると、ミシェル様が私を迎えに来た。


「ノア、行こう。皆待ってる」

「はい」


 背を押され、ミシェル様と共に朝礼中の皆の前で、初めて素顔を見せると、仲間の皆はかなりザワザワとなり、ぐっと体が強張った。


 見慣れた仲間の顔がはっきりと見える。

 少しだけ心臓の動きが早い。


 ミシェル様が経緯を説明してくださり、今まで皆に性別を偽っていた事に頭を下げたけど、顔を上げた時には皆優しく笑ってくれていて、初めてここに来た時のように拍手をしてくれて、思わず涙が出た。


 こうして私は新たな魔法騎士団生活をスタートさせた。




「ノア君、それ僕が持つよ」


 大量の書類を抱えて本部に向かう途中、後ろから走ってきたのはロベール先輩だった。


 廊下でひょいと荷物を取り上げられ、急に手持ち無沙汰になる。


「自分で持てますよ?」

「いいの。ノア君、女の子なんだから」


 そう言って少し重そうに書類を抱えるロベール先輩に私はくすりと笑みが零れた。


「良かった」

「何が?」

「ロベール先輩が変わらず優しくて」

「ノア君……」

「みんなに嘘つきって言われかもなあって思っていたんです。けど、皆変わらずに接してくれたから嬉しくて。でも、ロベール先輩はどんな状況でも最初から優しかった。心配するほうが失礼でした。貴方はそういう風に人を差別する人じゃないとわかっていたのに」


 廊下を二人で歩きながら、最初に施設を案内してくれた日のことを思い出す。この人がいなかったらあんなにすぐ魔法騎士団に馴染むことは出来なかっただろう。


「差別はするつもりはないけど、区別はするよ」

「え?」

「君は女の子だから……その……とても可愛い女の子だから、もう男扱いはしない」 

「ロベール先輩……」

「ノアちゃんって呼んでいい?」

「はい。でも今までどおりノア君でいいですよ? 中身が変わった訳じゃないもの」

「それは僕が嫌なんだ……君が女の子みたいだなとは思ってたけど、まさか本当にそうだとは思わなかったから、これからはちゃんと女の子として接したい」

「でも今までどうり鍛錬も参加するし、あんまり女の子らしくないですよ?」

「女の子だよ。君は凄く可愛い」


 そんな風に言われてしまうと照れてしまう。

 ロベール先輩はやっぱり凄く優しい。


 何だか嬉しい気持ちで廊下を二人で歩き続けていると、反対側からとても背の高い団服の人が歩いてきた。


 濃紺のコート式団服と同じ濃紺のネクタイ。

 将校だ。



 私達はぺこりと会釈して、その場を通り過ぎようとした。


「……待って」


 後ろから声をかけられ振り向くと、輝くような金髪にグリーンの瞳をした背の高い将校が不思議そうに私をみていた。


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