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2.お祖母様の心配

「まさか、ノアに要請がくるなんてねぇ……」


 バタバタと荷物の整理を始めた私を見ながら、魔法の師匠でもあるお祖母様は深い溜め息をついた。


 なんと魔導師団から要請があり、春から王都の魔法騎士団で働くことになった私は、まさかの事態に大慌てで支度をしていた。


 私はまだ下級魔法使い。

 18才になって成人したばかりだったし、声が掛かるだなんて思いもしなかった。


 あらかたバックに詰め込んでから、出立前にお祖母様から仮面を渡された。


「いいかい? ノア。教えた通り、異性の前では仮面をつけなさい。これでお前の見目の印象を変える効果がある。この仮面は今回の為に特に念入りに術を施したからお前の『目』に魅入るのを防げるはずだ」


 私の右目には特殊な魔法陣が入っており、この魔法陣のせいで意図せず他人の、特に異性の精神に影響を及ぼすことがある。


 一番よくあるのは一時的な魅了状態になることだが、それ以外にも気分がハイになり酩酊状態を起こしたり笑いがとまらなくなったりと、まあまあどうでもいい悪影響が数時間程続く。


 普段外に出る時はお祖母様の魔法が組み込まれた眼帯をつけているが、実家を離れるということでお祖母様も随分心配しているのだろう。


 気合の入った可愛い仮面を作ってくれた。


「白猫の仮面(マスカレード)だわ……可愛い。有り難う、お祖母様」

「フルマスクだと表情が見えないから目だけにしたの。ノア……身体に気をつけて。無理はしないように」

「うん。『シルキー』を喚ぶから平気よ」

「それと、私の教えは忘れないように。特に……」

「禁忌の術?」

「……そう。神の召喚は禁忌だ。 禁忌だからこそ私達は覚えて引き継がなきゃいけない。それでも決して使っちゃいけない」


 そう。

 うちは召喚術中でも特に困難とされる神の召喚を出来る家系なのだ。

 いや、私は喚んだことないから果たして真実かはわからないけれど。


 ただ実際神の召喚で私のお母様も亡くなっている。


「いつも思うけど、使っちゃいけないのに覚えるなんて無駄な気がする」

「ノア、私達一族はね、何でも喚べるんだよ。だからこそルールを重んじなければならない」

「それはわかっているんだけど……ま、取り敢えず頑張るわ。初めての王都だし! 有り難うお祖母様」


 お祖母様お手製の白猫の仮面を身につけると、私は笑顔で転移術を使って王都の騎士団へと旅立った。



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