1.プロローグ
私の国の魔法騎士団はとにかく強いと有名だ。
大型魔物はいとも簡単に討伐し、他国から戦争をふっかけられればあっという間に反撃してしまう。
魔法騎士が戦場で、魔法を纏った剣を振るい敵を薙ぎ倒す様は、いつの時代も子ども達の憧れだった。
そんな国の英雄魔法騎士達を導き、魔法でサポートするのが魔導師である。
魔導師は魔導師団という団体から魔法騎士団へ派遣されるのだが、団体に登録しているのは一般の魔法使いで、それを専門分野ごとに調整し必要と思われる人材を魔法騎士団へ派遣している。
元来魔法使いは戦地を駆け巡るよりも家でコソコソ魔法研究にのめり込む人間が多いが、魔法騎士団とは古くから取り決めがあり、任意ではあるが今でも魔法使いになるものは皆魔導師団に登録している。
魔法使いの家系である我が家も勿論魔導師団の一員で、私も魔法使いの資格取得時から登録を行っていた。
だって登録すると、薬草や教本の提供などの便宜をはかってもらえるから。
かつて、お祖母様も今は亡きお母様もこの魔導師団からの依頼で魔法騎士団へ派遣されたことがあったらしいが、今の時代要請があるのは上級魔法使いばかりで、地方のド田舎でほのぼの生活を送っている私みたいな下級魔法使いに声が掛かるなど絶対にないと思っていた。
特にうちは、召喚術を取り込んだ魔法を勝手に作ってしまったような正統派から程遠い家系だ。
法整備が甘かった昔ならいざ知らず、国を預かる魔法騎士団付きの魔導師にいまさらそんな自分勝手な一族が任命されることはもうないだろうと高を括っていた
魔導師団から封書が届くあの時までは。