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第1話 出会い

  男は、夜道を歩いていた。今日もバイト疲れた、客のおっさんうざかったなぁ……なんて思いつつ帰路につく。


 その男の背丈は百八十センチを少し越えているくらいか。白シャツにジーパン。かなりラフな格好だといえるだろう。


  満点の星空。さっきまで良い事無かったけど、これを見たら少し元気になれそうだと思った。


 前から女の人が歩いてくる。遠目から見ても、美人なのが分かる。長く伸びたサラサラの白い髪。まるで北欧の美女。男は見とれていた。女は気にすることもなく、歩いてくる。すれ違いざま、


「あぁ、やっと見つけたわ」


 そんな声が聞こえた気がした。その瞬間男の視界がぼやける。あれ、おかしいぞ……


「間に合ってよかったわ。ゆっくりお休みなさいな」


 その言葉を聞き終える前に、男の意識は無くなっていた。


 男が目を覚ますと、そこは森の中であった。ゆっくりと体を起こす。周りを見ても木しかない。


「ここはどこだよ……」


 そう呟くも帰ってくるのは鳥のさえずりだけ。そして前後の記憶も曖昧だ。確か、俺は居酒屋バイトの帰りで……えっと、あの客のおっさん! 対して注文してねぇくせに高いだの文句ばっか言いやがって!


  ……違う。そこはどうでもいい。問題なのはそこじゃない。なぜ森の真ん中で俺は寝てたのかだ。確か、帰ってるときに、すげぇ美人の女の人とすれ違って……やばいな、そこから全く記憶がねぇ。そしてここがどこかもわからねぇ。


  そうだ、スマホの位置情報でどこか分かるはず! 俺は左のポケットからスマホを取り出す。電源は付く。しかしダメだ圏外だ。困った困った。頼みのスマホがダメならもうどうしようもない。所持品はスマホと財布だけ。バイトの制服なんかは、バイト先のロッカーに置いている。


 さて、ここからどうしようか。こんなにお日様が照っているのにスマホには二十二時三分と書かれている。スマホがバグっているか、ここが日本じゃない可能性もある。あまり後者であってほしくはないが。


  こんなところでのんびりしていても食べ物を持っていないから飢え死にしてしまう。森の中とは言え、森の中で生きていけるほどのサバイバル術など知らない。男はとりあえず、人を見つけるために歩き始めた。


 最初は、大声を出しながら歩いていたが、三日を過ぎるころには声も出なくなっていた。


「だ、だれ……か……」


 三日も飲まず食わずで動いたのだ。男は限界だった。進めども進めども森の中。周りには木しかない。


  倒れそうだった。気合だけで乗り切っていた。そんな男にもついに限界が来てしまった。男はその場に倒れた。辛うじて意識だけはある。


  すると声が聞こえてくる。かすかな声が。


  男は最後の気力を振り絞って叫んだ。そして、男の意識は闇に包まれていく。


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