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62話

カイザ様とキリアン君と共にルビラ王国へと帰路についた。


バナッシユ国とルビラ王国は隣国とはいえ馬車で一週間はかかる。


その間ミケランは退屈なのか「ミャーミャー」と鳴き、飽きるとわたしの膝で寛ぐ。


メリッサも同じ馬車に乗りお世話をしてくれる。


ロウトはもちろん馬に乗り馬車の警護をしてくれている。


カイザ様はわたしとは別の馬車に乗っている。

アイシャちゃんならカイザ様と馬車に乗るのも楽しいだろう。

でも今のわたしはカイザ様との長い時間が苦痛になってしまう。

リサ様のことを考えると、カイザ様と話すのも気を遣ってしまう。


バナッシユ国に来てわたしの心は救われた。

でもアイシャちゃんはほとんど反応しなかった。

でも唯一、お父様を癒しの魔法で救ってくれた。


あれはわたしではない。

わたしがアイシャちゃんの間、何度も試したけど魔法は使えなかった。


だからアイシャちゃんがお父様を救ってくれたのだ。

眠っていてもわたしの「今」を見てくれているし見守ってくれている。


ミケランもアイシャちゃんを待っている。

だってメリッサさん曰くいつものミケランではないらしい。

アイシャちゃんといるミケランは動きも良く楽しそう。

わたしといるミケランはいつもわたしにくっついて何か言いたそうにゴロゴロと喉を鳴らしてわたしのそばにいる。

まるでアイシャちゃんに話しかけているようだ。


アイシャちゃんが目覚めるのを待っているのかもしれない。

わたしはミケランの頭を撫でながら

「貴方のご主人様は寝坊助さんなのね、もう少しだけ待ってあげてね」

と言うと

「ミャー」

と返事をした。


アイシャちゃん、みんな待ってるよ。




◇ ◇ ◇


わたしは不安の中ルビラ王国に帰ってきた。


カイザ様の屋敷に着くとすぐにゆっくりと入浴。


温かいお湯のおかげで疲れ切った体はかなり癒された。


そのままミケランとベッドにダイブして、気がつけば二人でぐっすり眠っていた。

帰りつくまでの不安なんか完全に忘れていた。


朝目覚めるとカイザ様が朝食を待ってくれているとメリッサさんに言われて急いで着替えて食堂へ向かった。


「おはようございます、遅くなってすみませんでした」


「アイシャ、疲れただろう。急かせてすまない、どうしても伝えておきたいことがあるんだ」


「いえ、しっかり眠ったので今日はスッキリしています」


「そうか良かった………アイシャの父親のことなんだが……」


カイザ様は言いにくそうに話し出した。


リサ様が今ハイド様のお義母様のところに身を寄せていると聞いている。


カイザ様は今のリサ様の状況を説明してくれた。




ーーーーー


「ハイドは少しでも空いた時間を使いリサと対話をすることで、アイシャへの気持ちを態度を、もう一度二人で見直して行くことにした。

リサ自身、アイシャが眠り続けていることで不安定になっているが、義母の厳しい愛情で冷静さを保てるようになってきたようだ。

すぐにアイシャに会わせることは出来ないが、アイシャに対して少しずつ「謝りたい」「ごめんなさい」と言う言葉が出始めたと聞いた」



「………そうですか……今のわたしがリサ様にお会いしても何も変わらないと思います。アイシャちゃんと会わなければ関係が変わることはないと思います」


「……ああ、わたしもそう思う。でもハイドがどうしてもアイシャに会いたいと言って来ている。どうする?君がハイドに会ってもそれこそ困るのではないのか?」


「わたしにとってハイド様は他人ですがアイシャちゃんにとってはお父様なんですよね……会えばアイシャちゃんも少しは変化があるでしょうか?さすがにリサ様とターナちゃんにはまだ会わせたくはありませんがハイド様なら……」


アイシャちゃんのためにハイド様とお会いすることにした。

もちろんカイザ様も一緒に居てくださると言ってくれたので少しホッとした。


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