表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

1/97

1話

【あらすじ、話しが→話が】「お父様!今日こそ魔法のお勉強教えてください」


わたしはやっと10歳になったの。


わたしの魔力は普通の人よりもかなり強い。


お母様が現国王のいとこで、王族は魔力が強く生まれやすい……らしい。



だから、今のわたしは魔力制御の練習を頑張っている。

すぐ暴発して何故か物が壊れるの。

忙しいお父様を捕まえて今日こそ新しい魔法を教えてもらうのだ!




わたしの名前はアイシャ・レオンバルド。


元王弟カイザの娘である母のリサが公爵の息子である父ハイド・レオンバルドと結婚し、わたしが生まれた。


ブロンドの長い髪にグリーンの瞳、わりと美人だと言われているのよ!


でもね、お母様はブラウンの髪に青い瞳。

お父様は赤茶色の髪に黒い瞳とはわたしだけ違うの。


顔も全く似ていないの。


2歳下の妹のターナは、赤茶色の髪に青い瞳で顔はお母様に似ているのに……


わたしだけ一人顔も髪の色も違う……


わたしは、何度か大人の人が話しているのを聞いたの。



「アイシャ様は本当にお二人の子供なのでしょうか?」

「アイシャ様はリサ様が浮気されて出来た子供なの?」

「養子として引き取ったと聞いたわ」

「お二人は優しいから可哀想なアイシャ様を引き取ったのよ」


たまたま屋敷の使用人の休憩室の前を通った時に話を聞いてしまった。


本当は使用人棟には行ってはいけないと言われているのだけど、飼っている猫のミケランが使用人棟へ入ってしまったのでそれを追いかけたのだ。


わたしは思わず口を押さえて、そのまま固まってしまった。


だって言われなくても自分でも変だと思っているのだもの……


お祖父様はわたしを可愛がってくれるのだけど、現国王の息子のクリスはいつもわたしを見て馬鹿にするの。

「お前のグリーンの瞳は王族ではない、王族の血が入っていたら青い瞳かブラウンの髪の色のどちらかが出る決まりなんだ!」


「でもわたしはお母様のお腹から生まれたのよ!

お祖父様もお父様もそう言ってたもん!」


「当たり前だろう?本人に捨て子だって言うわけないだろう?」


「……クリスなんて大嫌い!」


元王弟のお祖父様はわたしをとても可愛がってくれる。

お父様もとっても優しい。

お母様だって怒るととても怖いけど優しいわ。


妹のターナは、クリスや他の人の噂話をやはり聞いていて

「お姉様は本当はうちの子ではないの?」

「嫌だな、本物でもないくせに堂々とうちにいるなんて」


と、最近はわたしのことを馬鹿にして蔑むようになった。


だから最近はクリスとは話さないことに決めた。


ターナは妹なので話さないわけにはいかない。

両親の前では……


「お姉様、大好き!」

なんて言って甘えてくる。


両親がいない時は

「偽物のくせに話しかけないで!」

と、わたしを避ける。


でも言い返せない自分がいる。


だってわたし自身も感じているから。

この家に居て、わたしの居場所はあるのかと……


でもわたしが悲しそうにしていると、お母様がとても心配そうにわたしを見るので、わたしはずっと笑顔で過ごす。


「お父様、早く!わたし少しだけど制御できるようになったの!みて!」


お父様の前でわたしと同じ大きさの花瓶を魔法で持ち上げた。


「ね?凄いでしょ?ジッと動かないで持ち上げることが出来るようになったのよ」


「お前、危ないぞ!そっと降ろしなさい!」


「えー?大丈夫だよ、わたしコントロールできるようになったもの」


ついお父様と話に夢中になって集中が途切れた。


「おい、こら、アイシャ!危ない!」

花瓶が下に落ちてきそうになってグラグラし始めた。


「あっ!ま、待って、ど、ど、どうしよう、え……え、あ……」


(もう駄目、花瓶を落としてしまう)


わたしは頭を両手で押さえて落ちてくる花瓶の衝撃に備えた。


……………。


「うん?ううん??」

わたしがそっと頭を上げると花瓶は宙に浮いたまま落ちてこなかった。


「はああ、怖かったぁ」


「怖かったじゃないだろう!花瓶は駄目だ、危ないだろう」


「うっ、ごめんなさい」


「さあ、おいで。わたしのアイシャ」

お父様は両手を広げてわたしを抱きしめてくれた。


「お父様、ごめんなさい、次は枕にするわ」


「そう願いたいね、落ちてきても痛くないようにね、水や人は危ないから駄目だよ」


「はあい、屋敷の中ではしないわ」


「なんで君はそんなにお転婆なんだ、ターナは大人しいのに」


(お父様も比べるのね)


「すみませんでした、お父様、わたしはお部屋に戻るわ」

わたしは急いでお父様から離れて部屋に戻ることにした。


「うっ……わたしは誰の子供なの?お父様もお母様も「もちろんうちの子だよ」と言うけど……」

部屋に入ると一人でベッドにうつ伏せて泣いた。


みんなの前では明るい無邪気なアイシャを演じている。

そうしないと心が壊れそうになる。


「ミャアー」

ミケランがベッドに上がってきて、ざらざらの舌でわたしの頬を舐めてくれた。


「ありがとう、本当のわたしを知っているのはミケランだけね」


本当のわたしは臆病で人見知り。

でも絵本に明るい女の子がみんなに愛されると書かれていたのを小さな頃から侍女のメリッサが読んでくれていたので、わたしは明るい女の子を演じてきた。


その理由?


それはよくわからないの……でも明るく元気なアイシャでないといけない……

そんな気がするの………


何故なのかわからないのだけど……






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ