表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
8/8

初対面3 アスカ

久しぶりの投稿です。お待たせしてすみません。

「お前の婚約者が決まったぞ。」

朝食をとっている最中唐突にそう言われた。言ったのは目の前の男である。皇族特有の銀色の髪におばあ様....つまり皇太后譲りの黄色い瞳を持った男は、わたしの、父だ。

父は、皇帝だ。そして私は皇太子。どんなわがままも許されるわけではない。常に国民のことを考えて行動しろ。それが父上の口癖で、私はそれが当たり前だと思って過ごしてきた。

そう、自分には選択肢なんてないのだ。

「はい。」

そんな自分を母である皇后が心配そうに見つめている。母上は、遠い国から一人で嫁いできた。

そのせいか父上の様子をいつも窺うようにしている。世間では、恋愛婚だと言われている。なぜなら、あの初代皇帝が始めたとされるプロポーズをしたからだ。

ちなみに同い年の弟はというと、そんな様子も知らずにのんきに好物であるデザートのプディングをほおばっていた。



それから何日かしたころだろうか。謁見の間に呼ばれた。いよいよ婚約者に会うことになるのだと思うと少しだけ緊張した。父上の隣に並ぶように座ると、婚約者が入ってきた。聖女の装束に身を包んだ女の子でどこか緊張したような面持ちでこちらにやってくる。

ベールをかぶっており、表情がよく見えない。しかしベールの隙間から見える金髪の美しい髪をたなびかせていた。

そんな彼女に父上は、やさしく話しかけた。

それから私を紹介した。

彼女は丁寧にあいさつしてきた。そんな彼女を父上はやさしい目で見つめていた、成長した娘を見るかのようなそんな目で。見たことのない父上の表情に驚きながらも自分の婚約者であるトキのほうを見た。彼女も緊張しているのか軽く震えていた。

そしてエスコートした後気まずい雰囲気をぶち壊して唐突に言われた。

自分の婚約者ぐらい自分で決めたらいい、と。

そんなことができるわけがない。自分は皇帝になる身で、国のために身を粉にして働かなければいけない。そのためには家族だって利用する。それではいけないのか。

そう思って返答するとなおも彼女は答えた。

それで幸せ?

考えてもなかったので返答につまった。しかし、それを無視して彼女は言った。

「...........それ何が楽しいんですか。皇帝になるんですから、民のことを考えるのは当たり前です。でも、伴侶くらいは。一生隣にいるんですから、選んでも罰は当たりません。...........それに、私は殿方と結婚なんて....。」

それにのあとが聞こえにくく、聞き返したが、彼女は何事もなかったかのように微笑んで、小指を差し出して指切りをした。太陽のようなまぶしい笑顔だった。


彼女が帰っていったあと、私は彼女とつないだ指がなんだか恋しく見えた気がした。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ