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神殿と再会3

神殿では、たくさんの神官と修道女がともに暮らしていた。併設されている図書館には、たくさんの資料が詰まれており、聖女の教育として一日3時間授業を受けなければいけなかった。

勉強嫌いの私はとてつもなく苦労した。私が覚えないといけない内容なのに後ろに控えていたエマが覚えてしまうなんてこともあった。

あの子供はというと、発熱し、うなされる日が多い。時々、「おたあさま。っ……おもうさま。」と叫んでいた。多分ママ、パパと言っているのだろう。






そして、一週間がたった頃だった。私はというと、日々の勉強で疲弊していた。机に突っ伏していると、激しい足音のあとに、ドアが開きエマが顔を覗かせた。

「お嬢様。あの子が目を覚ました。」

「本当?今行くわ。」

いつでも行けるようにと、子どもの部屋を私の隣に設置してもらったので、数分もかからずに着くことができた。扉をあけると、部屋のベッドに腰掛けていた子どもは神殿で治療を受けていたおかげか、顔色がとても良くなっていた。汚れていて分からなかったが、綺麗な顔立ちをしていた、男だと言われれば納得してしまう。瞳が若草のようで、それが窓から入る日差しをうけて、きらきらと輝いて見えた。

その子のそばのイスに座って話しかけた。

「気分はどう?」

「あっ、はい。大丈夫です。あの…、ここはどこでしょう?」

「ここは、ダイアナ帝国。貴方の名前は?」

名前を聞くと、その子はあり得ないというような顔をして、それから、私も予想外の言葉が帰ってきた。

「………。高槻 聖(たかつき せい)です。」

「えっ…………。……………………エマ。少し席を外して。」

ここで、驚いて叫ばなかった私を誰でもいいから褒めてほしい。

エマが部屋から出たことを確認して、目の前の人を見る。

「セイなの?セイも転生したの…。」

「えっと、どちら様ですか?」

「…ほら、中学の同級生で、親友の立花 都喜(たちばな とき)だよ。セイ!」

「えっ!!嘘………。私たち、転生したんだね……。それも、瑠華と、私と都喜が、むっちゃくちゃハマったあのゲームの中に。」

「そうだね……。嬉しいのはあるけど、やっぱり、家族とか、友達に会えないとなると、複雑。」

「悲しいよね……。それで都喜は何のキャラに転生したの?」

「私は悲劇の聖女、クロエ・コーディーだよ。でも、クロエが名前じゃないんだ、多分転生の影響だと思う。ゲームとは違う名前。で今の私の名前は、トキ・コーディー。セイは?」

「私は………、ゴメン。覚えてないんだ。私が何者なのか分からない。でも、トキのから考えて、私の名前はセイなんだろうね。」

「そっか。残念ながら、セイの身元調査をしたけど、分かんなかった。でも、着ていた服が、十二単ににてたから、日の王国の貴族だと思う。…………………これからどうする?」

「行く当てがないからね……。それに、誰かに狙われてる可能性もある。逃げてこない限り、10歳ぐらいのこどもが親なしで隣国まで来ないし。」

「う~ん。何にしろ、協力者がいるね。子どもだけでは無理な部分もあるだろうし。……とりあえず、エマ。もう入ってきていいよ。」

「はい。」

「この子の名前はセイ。名前以外記憶がないらしいんだ。何者かに狙われているらしいから、性別は隠した方が良いと思うんだ。」


「なんか、壮大ですね。なんかファンタジーみたいで、楽しそうです。」

普通のメイドがセイの事情を知ったら、驚くとか言う反応をしそうなのに、うちのエマはそうはいかない。さすがは私のメイド。

「それって、男装執事ってこと?」

セイが目をキラキラと光らせながら、聞いてきた。

「そういうこと。……で、エマ。とりあえず、男物の執事服を手に入れてほしいんだ。」

「かしこまりました。すぐに行って参ります!」

心強い味方ができたことに安堵し私は、皇太子に会うことになる。



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