神殿と再会2
きりきりと痛む腕を軽くおさえながら、馬車をおり、後ろの荷馬車へと移動した。先に移動していたエマが布でこどもの顔を拭いていた。こどもは私と同じくらいの年齢の顔つきで、美しかった。エマの後ろ姿を見つつ、話しかけた。
「エマ。その子は大丈夫?」
「お嬢さま。男子、着ているが見たことありません。きっと、異国から来たのではないでしょうか?」
そういわれて、私は、園子の来ている服を見た。
「いや、女の子よ。」
「はい?」
「その子は、異国から来た女の子。その服装からして、日の王国ね。」
ゲームの地図を思い出しつつ、そう答えた。
その子の服は日本の十二単とよく似ていて、成人前の平安時代特有のおかっぱのような髪型をしていたからだ。それなりに位が高い証拠でもあった。
「とりあえず、神殿で治療できるように取り計らってもらわなきゃ。エマ、あとは頼むわ。」
「かしこまりました。お嬢様。」
神殿は、とても大きくて、神々しかったが、どこかひんやりとしている感じがどうも落ち着かない。ただただ、白い空間に早くも息苦しさを、覚えた。
アイツは、近くを歩いていた神官を引き留めて、何やら話しこんでいる。
その時、どこかから、暖かい風が流れた。体にまとわりつくようなものだったが、不思議といやではなかった。
「トキっ!早く来い。法皇様がお待ちだぞ!」
アイツの声が暖かい風をどこかへやってしまったのか。いつの間にか、その風は感じなくなった。
あれは、いったい何だったんだろうか。
後ろ髪ひかれる思いであったが、アイツがこちらにやってきたのが見えて、急いで、アイツのもとへと欠けた。
一言でいうと、法皇は、近所のおばちゃんみたいな人だった。この神殿とは裏腹に、色で表すと、オレンジ色だ。
「よくきたねぇ。トキ嬢。侯爵もはるばるお疲れさん。」
「法皇様におかれましては........」
目の前の法皇があらかさまに眉を下げたのにも気が付かない様子でアイツはべらべらと社交辞令を口にろせていく。
「挨拶はそのあたりにして、女神像に聖女になったことを報告しておくれ。」
女神像の前で、宣誓って、なんだか、異世界っぽい。(ファンタジー系の乙女ゲームだから、当たり前なんだけど。)
女神像あ神々しく、おもわず膝まつくような威圧感があった。法皇は祝福をのべ、合図をくれる。
「令嬢。宣誓を。」
「はい。私トキ・は今回聖女の役目に任命され、この国のために尽くします。」
そういって、礼をした私を見て、法皇は、目を見開いた。
「そなたは.........」
「娘がなにか?」
法皇はそれで一気に現実へと引き戻されたのか。何でもないとさっき言った言葉の続きは教えてくれなかった。
「この後、トキ嬢には、7日間、神殿で祈りをささげてもらう。侯爵は仕事もあるだろうから。期間するように。」
「はい。」
アイツは法皇に挨拶すると、エマと子供を残して、帰っていった。