転生しました?!
汗をびっしょりかいたのか服がべたべたと張り付いて、気持ち悪くて、二度寝しようとしていた私は目をあけた。すると、見覚えのない天井が見える。薄暗いせいでほとんど見えないけれど、いつも見上げていた、自分の部屋の白い色のものではないことがはっきりと分かった。服に目をやるといつものスエットではなくネグリジェを着ていた。
(何がどうなってるの?)
疑問の解消になるかはわからなかったがとりあえず、鏡の前に立つと自分じゃない金髪でエメラルドグリーンの透き通る瞳、に陶器のように白い肌の女の子が映っていた。どっかで見たことあるような......。
あっ、これって、異世界転生と言われるやつ........。うれしいんだけどさぁ。夢でも。
えっ?アニメの続編も気になるし、小説もまだ未完結のものもあるんですけど.......。神様どうしてくれるんですか?!
.............いったん、落ち着こう、夢かもしれないしね。
無理やりだと理解はしているものの、キャパを余裕で超えた私は、ベッドふとダイブし目を閉じたのだった。
ドンドンと乱舞にたたかれるドアの音で、目を覚ました。ママかな.....。今日は日曜日のはずだけど、寝返りを打ちもう一度寝ようとしたとき、「こら、トキぃ!起きろ。」「旦那様。」
聞いたことのない声に、私は驚いた。というか旦那様ってことは、昨日のやつは夢ではなかったらしい。
「はい。起きていますが、お父様。」
無意識に言葉が紡がれたことに違和感を覚えたが、さっきまで怒鳴り散らかしていたアレが言った。
「前に王宮で魔力を測ったことがあっただろう。それでなんと、お前が聖女に選ばれたんだ。」
この展開どこかで聞いたことある。
「そして、政略結婚という形で、第一皇子殿下との婚約も決定したぞ。でかした。.........不安か?そうだろう。聖女とはいえ、形だけのものだ。安心しなさい。エリーも喜んでいたよ。」
一方的に話を進める父を持つ令嬢。これは”ダイアナワールド”だ。
わたし、ゲームの悪役聖女になってしまったみたい。
夢ではなく現実で。
このキャラは悪役と言われているが、この家にさんざん尻拭いをされたかわいそうな令嬢だ。
金の力で権力欲しさで聖女にさせられ、ヒロインに負けたら許さないと裏で、いじめの工作をしてくる父。
泥棒猫とひたすら暴言と暴力を天のように降らせてくる義母nエリー
泣けばなんでも許してくれると思っている義妹
そして、ヒロインと第一皇子、アスカがその真実を断罪する。しかし本来平等に行われなければならない審査で金を使って聖女になったのは、そいつだと、父に売られてしまう。
結局真実を知られることもなく、処刑され、代わりにヒロインが真の聖女として、国を守ることになる。
つまり、聖女は父が勝手にしたものと言えばいいんだけれど、弱みを握られてしまっているため、父親には逆らえなかった。
理由は母の遺品の中にある”星空の結晶”にある。これはママが、お父様には絶対に渡してはいけないと言われたのだ。理由は知らないけど。
そして、ママが死んじゃったあとお父様が「それを渡せ。」
と言ってきた。それで約束した。
これの代わりに何でも言うこと聞くって。