虹雲探せ
ふうた君は空が大好き。
ふわふわ漂う雲を毎日のんびり見つめてる。
空にはいろんな形の雲がある。
色もたくさん。
ニコニコ空のときは真っ白な雲
悲しい空のときは真っ黒な雲
赤くなったり、黄色に輝いたりもする。
そうだ!
こんなにたくさんの色になる雲だから
きっと虹色の雲だってあるはずだ!
よーし探しに行こう!
ふうた君はさっそく友達に会いに出かけました。
はじめに、屋根の上で寝ている猫のピピのところへ行き
「ねぇねぇ。虹色の雲を見たことない?」と尋ねました。
ピピは
「そうだねぇ。私は寝るのが大好きで、空はあまり見ないからわからないなぁ。」
と答えました。
ふうた君はちょっとがっかり。
次に尋ねたのは庭で遊んでいる犬のトトのところ。
「ねぇねぇ。虹色の雲を見たことない?」
トトは
「そうだなぁ。お外を散歩しているときに、白い雲や夕方の赤い雲は見るけどなぁ。虹色の雲は見たことないや。」
と答えました。
ふうた君はまたがっかり。
するとトトは
「川に長く住んでいる、鯰のククさんなら何か知っているんじゃないかな?」と教えてくれました。
次は川へ行き、鯰のククを尋ねました。
「ねぇねぇ。虹色の雲を見たことない?」
ククは
「ん~。時々空を見上げて、虹は見たことあるけど、虹色の雲は見たことないなぁ。」と答えました。
ふうた君はまたがっかり。
そこへ、牛蛙のロロが「どうしたんだい?」とやって来ました。
ふうた君はわけを話します。
「虹色の雲を探してるんだ。」
ロロは
「僕は雨の空が大好きで、いつも見ているのは灰色や黒い雲ばかりだよ。ただ、そのあと晴れると、虹がかかるでしょ。もしかしたら雨と何か関係があるのかもしれないよ。」と答えます
そっか...
虹は見たことあっても、虹雲は誰も見たことない。やっぱり虹雲はないのかなぁ。
諦めかけたそのとき。
空からぴゅーっと鷹のジジがやって来ました。
「ふうた君!虹色の雲を探してるんでしょ?」
ふうた君はびっくりしてジジの元に駆け寄りました。
「猫のピピから聞いたんだよ。ふうた君が虹色の雲を探してるって。大空を飛び回っている僕に知らないことはないよ!」
「虹色の雲はあるよ!!」
ジジの言葉にふうた君は大喜び。
「どこにあるの?どこで見られるの?」
もう興奮がおさまりません。
ジジは空を見上げて言いました。
「おーい!みんな手伝ってくれー。」と呼び掛けます、
すると山からたくさんの鳥たちが飛んできました。
「ふうた君。このバスケットに乗るんだ。」
ジジはふうた君をバスケットに乗せました。
すると、鳥たちがロープを引っ張って、ふうた君は大空へ飛び立ちました。
「うわぁ!凄いぞ!凄いぞ!」
ふうた君はまたまた大喜び。
気付けば、尋ねて回った友達も、鳥たちの背中に乗っています。
「この方向なら見えるはずだ。ふうた君!あの雲を見て!」
ふうた君はジジが指指した方向の雲を見ると
そこには虹色に輝く薄い雲がありました。
「あれが虹色の雲。『さいうん』って言うんだよ。空にたっぷりの水と薄い雲があって、そこに太陽の光が当たると、虹色に輝くことがあるんだ。」
ふうた君はもう嬉しすぎてただただずっとその雲を眺めていました。
友達の動物たちもみんなうっとりと虹雲を眺めていました。
みんなは、太陽が沈みはじめ、虹雲が見えなくなる時まで幸せな時間を過ごしました。
地上に降りたふうた君たちはまだ夢の中のような気分でした。
「ジジさん。今日はありがとう。僕の探し物を見つけてくれて本当にありがとう。」
ジジは
「ふうた君の『見つけたい』という願いが、雲たちに届いたんじゃないかな。だからなかなか見つけられない虹雲を見ることができたんだと思うよ。良かったね。」と言ってくれました。
雲はふわふわ色んな形
いろんな色
白、灰色、黒、赤、黄色。
そして
時々素敵な虹色の雲
次は何色の雲を見つけられるかな。