第二の転校生現る
ギャアアアアアオオオオオオン!
「えーと、今日は、新しく転校生がきていますー」
「「「イェエエエエエエエエエエエ~~~イ!!!」」」
担任、柴垣の言葉に教室がドッと沸いた。
丹翔たちもガッツポーズして大喜びだ!
「それじゃあ、珍香ちゃん、お入りなさい」
柴垣がそう呼びかけると、教室の引き戸がゆっくりと開き、一人の超絶美少女が入ってきた。
透き通るような白い肌、毛先を切りそろえたおかっぱボブの黒髪、くるりとしたまつげに眩しそうなクールな目元、まるでお人形のようにキレイで可愛らしい彼女の姿に教室の生徒たちは息をのんだ。
彼女が教壇の上に立ち生徒の方を振り向いたとき、教室がざわついた。
「「キャ」」
「ちんさくじゃん!」
「うおお! マジだ! ちんさくだ!」
「「キャーー!」」
「まじか! すげえ!」
「ちんさくちゃん!」
実は彼女は、女優やモデルとして有名人なのだ。
「「「うおおおおおおおおー!!」」」 「「「キャアアアアーー!!」」」
教室のボルテージが頂点に達する。
「こらお前たち、落ち着きなさい」
「「「うおおおおおおおおー!!」」」 「「「キャアアアアーー!!」」」
「こら、静かに」
「「「うおおおおおおおおおおおおー!!」」」 「「「キャアアアアアアーー!!」」」
「ルルルーラララ―、ルルルーラララー、さるはー木からー落ちない―♪ 犬はー棒をーよけた―♪」
クールな表情のまま、突然甲高い声で歌いだしたちんさく。
「ハチはー泣いている私をー慰めてくれた―♪ 今ではー、大切な―ともだち―♪」
透き通る天使のような美声と圧巻の歌唱力に、あんなに騒がしかった教室のみんなも静かにならざるを得ない。
「猫はー小判をー大事そうに抱えー、豚はー真珠の美しさに涙したー♪」
彼女の歌声に圧倒された生徒たちは、彼女の歌が終わった後も地蔵の様になっていた。
「いま歌ったのは、私が出演させてもらっていたミュージカルの劇中歌、『みんな仲良し』という曲で、私のお気に入りの1曲です」
彼女はそう言うとぺこりと深く頭を下げた。 甲高い歌声と違って、喋る時の声は落ち着いていてクールな美声だ。
「「「うおおおおおおおおおおおおおおおおー!!」」」
教室にスタンディングオベーションが沸き起こった。
拍手喝采が鳴りやまない!
ドンッ!!!
突然響いた壁を殴る大きな音に教室のみんなはビクッとして静まり返った。
『うるせえーーーーぞあああ! C組ぃぁあ!! 生きれぇぁぁ!』
壁の向こうからB組の穴熊匡俊の怒鳴る声が聞こえた。
「「「………………」」」
「さてっ、それでは改めて、自己紹介」
柴垣が手をくいッと仕向けてちんさくを促す。
「やって、ほらっ」
「……私の名前は、珍香 桜と申します。 知っている方もいると思いますが、女優やモデルのお仕事をやらせてもらっています。 好きな食べ物はプロテイン。 趣味はハムスターの動画をみる事です。 よろしくおねがいします。」
そう言うと桜は再びお辞儀をした。
「「「うぉおお……」」」
ドンッ!!! 『うるせぇえぞあああ! C組ぃぃぃ!!』
「「「……………………」」」