運命の出会い 前編
みんなーげんきー?
私もとってもげんきだよ~! おっはよー!
あっ! まだ自己紹介をしてなかった!
私の名前は耳川 実鈴。
みんなからはみーみーとか、みーちゃんとかみみりんとか実鈴ちゃんって呼ばれてるよ。
好きな食べ物はブロッコリーとセロリ、あとね、お豆腐も大好きだよ!
ブロッコリーおいしいよね! みんなも好きかな?
「今日は五月五日の~こいの~ぼり~♪ 屋根よりたか~い鯉の~ぼ~り~♪ の日だよー!ぎゃはははは~」
「私、鯉のぼりを見るとワクワクするんだよね~。 鯉のぼりかわいいよね。 空に魚が泳いでるって考えたら楽しくなるよね、あははは~!」
だから5月が大好きなんだ~。
「うふふ、今日も天気が良くて気持ちいいなあ~。息をおもいっきり吸いこんだらドーナツ屋さんのドーナツのにおいがきゃああああああああー!!」
急に叫んでゴメンね。
なんか白くてバサバサで、目のまわりが酔っ払いみたいに赤く色づいた鳥みたいなのが突然とびかかってきたの!
キャあ~! なんか頭を集中してねらってくる~! にげろ~!!
ω
「やだー! まだついてくるー!」
私は必死に逃げました。
走って走って草むらを突き切って林も抜けて丘もこえて一心不乱に走りました。
ハァ……ハァ…… 気が付いたら水元公園て書いてある所にきていました。
「あ! ブランコがある! あそこでちょっと休憩しよう!」
スタタタタ=3
「ちょうどいい高さのブランコだ~。砂もついていないしみんなに大事に乗られているんだネ~」
「そういえば! おやつに食べようと思ってバナナ持ってきてたんだ、いま食べちゃお~っと」
「モグモグ、ん~おいしい~! 景色も良いからよりおいしく感じるよ~」
もちろん、バナナの皮はちゃんとかばんに入れて持ち帰るよ!
「ふぅ…… それにしても何だったんだあの鳥みたいなのは。変なの。何で私の頭ばっかり狙ってくるんだろう」
と、頭を触った瞬間、私は気付いたのです。
「頭がもじゃもじゃ!」
「リボンがない!」
「代わりに何かついてる!」
「ポニーテールにしてたお気に入りのパステルレモンイエローのリボンがない! とられちゃったエヘヘ。 そうだ! 手鏡!」
かばんから手鏡を取り出して、頭の状態を確認してびっくりしました。
「なんだこれわ~!あたまが鳥の巣みたいになってるじゃん!」
私の頭には木の枝や葉っぱ、ストロー、ボタン、毛糸、お菓子の箱をちぎったものとか色々なものが絡まっていました。
あのこ私の頭に巣を作りたかったのかな?
髪の毛に絡まっていたアイスの棒をなんとか取り外して裏返してみたら、当たりの棒でした。
ラッキーって喜んでいたら、遠くからキンコンカンコンとチャイムが鳴るのがちいさく聞こえました。
「あ! 学校に行く途中だったんだ!」
私は学校へ向けて走りました。
街中に飾られている鯉のぼりがビュルビュルなびいて、すごい速さで空を泳いでいるようにみえました。
私も鯉のぼりになったつもりで走ってみました。
なんだかすごくはやく走れているきがする。
「ビューーーーン!」
うん、これなら間に合う!
5月の風は気持ちいいです。