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物語終了課  作者: lachs ヤケザケ 
敵が味方になると弱くなるが、味方が敵になると厄介
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第八十話 魔王の笑みは消えない

「化け物か」


 都道は苦笑した。

 肩を撃たれても、佐藤のスピードが衰えない。ドラマや映画ならわかると思いたったところで、ここが物語世界だということを思い出した。 

 銃弾が肩や手足に当たっても軽傷で済む奴には、胸か頭しかない。だが、正確な射撃は読まれやすい。

 案の定、浴びせるように撃っているのに平然と防いでみせる。


 近距離では、銃より刃物の方が強いことがある。

 警察で刃物の容疑者相手に6メートル以上を保たなければいけないのは、刺される前に二発撃ちこむためだ。

 その二発は外れた。


 刀の煌めきが迫ってくる。

 胸を目がけての刃を避けるように、床に手をついて横に転がり片膝をついて銃を撃つ。

 咄嗟に対処できないだろう、側面を狙った。

 佐藤は身を捩ってかわす。


 銃口を向けられたら、後退するのではなく身を捩るといいというのを高校生が知っているはずがない。

 知識として知っていても実践できるかは別なのに、本能的にやるとは筋がいい。


 跳ねるように立ち上がるも、上から刃が降り下ろされた。

 銃を横にして、刃を受け止めるが重い。


 足を上げ過ぎれば隙となる。脛を蹴ろうとしたが、後ろへ下がられる。

 銃への重みが軽くなったと思ったのも一瞬、刀が引かれ、突き出される。

 間一髪のところで横に避ける。

 刃が身の近くを通り過ぎた。 

 さすがに、全身の毛が逆立つ。


 銃口を向けようとしたが、その前に刃への防御手段となってしまう。

 コイツは、佐藤は、本間と違う。一撃が重く、速い。

 バックステップをし距離をとろうとしたが、詰められる。

 これ以上後ろに下がれば壁だ。横にドアが見える。


 

 刀が真っ直ぐに都道に向けられた。喉元に突きつけられたという距離でもないが、一歩踏み込むだけで喉に当たる。


「銃を捨てて、手を上げて降参してください」


 佐藤の言葉に肩の力が抜けた。


「なんだ。つまらんな」


 都道は銃を落とし、佐藤の方へと蹴り飛ばしておざなりに手を上げる。

 佐藤は銃を後方の手が届かないところへ蹴った。

 

(銃を拾わないか)


 大きく隙ができるかと期待したが。


(いや、それで『主人公』に不意打ちで銃を向けたら、物語補正と主人公補正で殺される)


 この物語の中では、自分が『主人公』の敵だ。

 『主人公』に見逃してもらった敵が、背中を向けられたとか隙のある瞬間に殺そうとしても返り討ちにあうだけ。

 よくある場面だ。

 まだ持っている銃は使えない。


「つまらんはないでしょう」


 佐藤はムッとした顔をしつつも、刀を下ろす。その瞬間、都道はコートのポケットに手を入れた。

 気づいた佐藤が刀で突くも、空を斬る。

 都道は後ろに倒れ込みつつ、ポケットから中身を取り出して佐藤に噴射した。

 

 催涙スプレーは斬れるものじゃない。

 銃だと思っていたなら、目を塞ぐということはしない。それでも直撃はかわしたようだが、苦痛の声が上がる。

 佐藤は片手で目を押さえつつ、むやみやたらに刀を振り回す。

 それに近づくような愚かな真似はしない。

 ドアの先に行き、閉める前に音響閃光弾スタングレネードを投げ込む。


 爆発音がドアを隔てても聞こえてきた。


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