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物語終了課  作者: lachs ヤケザケ 
VRMMOでログアウトできないのは、もはや仕様
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第五十八話 GMも職務を放棄した

「次は戦闘の仕方ね」

 

 アリスは斧をよいしょと持った。

 少女の姿に大きな斧。アンバランスで似合わない。


「物理攻撃は単純に殴るのと、スキルを使うのがあるの。スキルは先ほど私が使った突進技の『牙突』ね」


「牙突が実装されているわけじゃないだろ」

 

 著作権的にどうかと思う。 

 本間の言葉にアリスはにこりと頷く。


「スキルも、後ほど説明するけど魔法もモーションと言葉で発動するわ。モーションと言葉は自分でカスタマイズできるの」


「ああ、だから漫画やライトノベルの呪文が使えるわけか」


 いや、呪文長すぎるのは不利じゃないか。

 まあ本人が楽しんでいるからいいか。


 アリスは斧を背中にしまい、ポケットから青い宝石を取り出した。


「魔法はこの青い石、魔石を使う。剣士や侍、槍使いは石を上に投げて浮かせて使うけど、ポンカンは魔法職だから、そっちを話しましょうね」


 ポンカン……

 落ち着け自分。彼女はそれがキャラクター名だと思って言っているのだから。


「ポンカンが使える魔法は、と」


 アリスが本間のステータス画面を大きくして、横にスワイプする。


「風の刃とバリアと二つね」


 説明はありがたいものの、もうどこか安全なところでじっとしていたい気分ではある。


「風の刃は対象へVの字を描く。バリアは頭上へ丸を描く。そのモーションをしながら、風の刃、バリアというだけよ。簡単でしょ」


「そうだね」


「レベルが上がるほど純度の高い魔石を装備できて、強い威力の魔法を使えるの。見て、ポンカンの杖の先の石も魔石だけど、原石っぽいでしょ」


 確かに。同じ青い色をした石だが、アリスが持っているものの方が澄んで綺麗な青だ。



 と、画面の端に『GMコール』という文字が見えた。


「GMコールって、ゲームマスターを呼べるのか」


 何でもできる管理者みたいな存在か。 


「ゲームマスターはサポート役みたいなものよ。バグでダンジョンから出られない時の救済や、嫌がらせをするプレイヤーを牢獄に一時隔離したり、不正行為を取り締まる……」


 アリスの説明が止まる。


「どうした?」


「呼んでる」


「え? 何を?」

 

「GMコールしてる」


 指が画面のGMコールに触れていた。


 しまった。

 ログアウトできない状況という、GMが忙しいところで仕事を増やしてしまった。

 申し訳ないことをした。来たら謝ろう。





「どうも、GMです~。何か御用?」


 とてもGMとは思えないノリの軽そうなのが来た。

 高身長に赤髪のショート。ぴっちりとしたドレス。涙ほくろが印象的な大人な女性。


「すみません。間違いです」


 本間は謝るも、GMは赤い唇の端を上げた。


「あらそう」

 そして、本間にだけ聞こえるよう、耳元で囁く。

「官公庁の役人が何やっているのかしら」


「どうも」

 

 本間は憮然として答える。

 アカウントかログイン情報でこちらのことを知っているのだろう。官の方がゲーム開発者側に情報を渡していてもおかしくはない。


「レベル1でどうしようもないと思っていたところですよ」


 本間は自嘲気味に笑った。

 実際にそうである。何も言い訳などできない。


「そう。いいわ。私もGMコールされるのに飽きたところよ」

 

(GMが職務放棄したらいけないだろ)

 と本間は思ったが、自身も職務放棄しているようなもので、なんとも言えなかった。


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