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第四十四話 おおかみ4
『未完の物語は暴走して、人を飲み込む。飲み込まれた人は二度と戻って来れない』
一種の都市伝説だった。
ネットがまだ普及したての頃に、掲示板にのっては消えていった都市伝説の一つ。
書き込まれた時、誰もが嘘として楽しんだ。
本当に物語に飲み込まれた人が二度と戻って来れないとしたら、この文章を書けないはずだからだ。
私だけが信じていた。
物語の暴走の描写が、あの日のそのままだったからだ。
作家の噂話から、物語終了課のことも知った。
未完の物語が暴走するなら、終了させればいい。そのためにわざわざ国が手を出している。終了させれば、飲み込まれた人が戻ってくる。
死んでいなければ。
あの時のことを思い出す。
火に包まれていった文字を動画でコマ送るように、詳細に。
無いようにと願っても、覚えていた。
『おおかみはママを食べる』
私は母を殺した。
母はオオカミに食べられてしまった。




