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第四十話 おおかみ2
死刑囚になりたいと思う。
私は生きるには向いていない。
人と円滑にコミュニケーションがとれない。要領が悪い。気が利かない。
雰囲気がやわらかいこともなく、口答えをしないものだから、何か言われる対象にすぐされてしまう。
言い返す言葉は、空気という圧力で消し飛ぶ。
それか、咄嗟に言葉に出るのは毒ばかり。
生きるのに向いていない。
死刑囚ならば、他の人と関わらず生きられる。食べ物も貰える。
望むなら、死刑の日どりだけを教えてくれるといい。
そこまでなら、一生懸命に生きようと。
けれども、死刑囚になるには未成年なので、これはただの夢想。
でも、人を殺したのだから権利はあると思う。
―そう思っていた。今も時折そう思う。




