相談相手
電話が掛かって来ない……
俺はベットの上で正座したまま詩ちゃんからの電話を待っていた……。
こっちから連絡が出来ないので、もうただただ待つしかない……これは本当に困る……。
風呂もトイレも何処にでも、常にスマホを持ち歩き、いつでも出れる態勢を整えて置かなければいけない……そして、それは深夜にまで及んでいた……。
まずい……勉強が手につかない。
集中力はかなり高い方だ、いや、それだけが取り柄と言っても過言では無い。
集中すると周囲が気にならなくなる……音も気にならない……つまりスマホの着信も気にならなくなってしまう。
なので逆に気になって集中出来ない……。
俺は祈るように電話を待った。
とりあえず次に会う約束だけでも出来れば……。
次こそは言う、「俺と付き合って下さい」って言う……。
勿論電話では言えないので直接会って言う。
で、だ……問題はそこからだ……。
多分……付き合ってはくれるとは思う……今はそれくらいの自信はある。
でも……あの娘と、詩ちゃんと……どうやって付き合うの?
そもそも付き合うって、どうやるの?
当然いきなりエッチな事をしちゃ駄目なのはわかってる。
うん……駄目……なのは…………駄目……だよね?
いや、だって……すぐしちゃうじゃん……その手の本て……。
特に女の子が積極的だったら……ねえ……据え膳食わぬはってことわざもあるし、そういう準備というか、心づもり腹づもりくらいしておかないと……。
「こういうのを捕らぬ狸の皮算用って言うんだろうなあ……」
だがしかし……お菓子……いや、すまん、緊張をほぐしただけだ……。
……こういう事はやっぱり誰かに相談をした方が良いだろうか……。
女子の気持ちがわかる、恋愛が出来る相談相手といったら…………妹?
「お、にいちゃーーーーん なんか呼んだ?」
そう思った瞬間、突然扉が開き妹が部屋に乱入してきた……って……。
「いーーーーつーーーーーーもーーーーーーーーノックしろとおおおお、言ってるだろうがあああああ」
俺はベットから飛び降り妹を抱き上げる。
「きゃああああ、きゃああああああ」
俺が持ち上げると妹は身体をくねらせ悲鳴を上げた……しかし俺はそれに構わず妹をベットに投げ込む。
俺に落とされパンツ丸出しでベットに仰向けで寝転ぶ妹。
「きゃあああああああ、お兄ちゃんに犯されるううう」
「うるせえ、お仕置きだ!」
妹がベットからノロノロとダメージを負ったプロレスラーの様に逃げ出そうとするのを上から覆い被さって阻止……さあ、お楽しみはこれからだ。
この間は俺が落ち込んでいてやれなかった、ノックをしないで部屋に入った時の恒例行事、妹こちょこちょの刑を執行した。
「うきゃあ、うきゃうきゃあ、うきゃあああああ」
妹は身をよじって俺のこちょこちょから逃げ出そうとする。
これはお仕置き、そして躾だ。兄から妹に対しての躾だ。
いつもいつもノックをしろと言っているのを無視するからこうなるんだ。
「いやああ、ご、ごめんなさいいいい、もうしませんん、うきゃあああああ」
「うるせえ、何百回目だああ、こちょこちょ」
「きゃあ、きゃあああ、うきゃあああああ」
俺は妹の為に敢えて、敢えて、情け容赦なく10分にも及ぶ刑を執行した……。
刑を執行された妹は、涙目で俺のベットに横たわっている……。
「ううう、また犯された……お兄ちゃん……責任取って」
「人聞きの悪い事を言うな! ノックをしない菜が悪い」
ただ、脇をこちょこちょしただけだ! いつもいつも突然入って来て……その……変な事を見られたらどうするんだ! そこから進展するのがエロゲとかエロマンガだろ! いや、進展しないけど……。
「だって……なんか私を呼んでいる声が聞こえたんだもん」
「……よ、呼んでねえ……」
「本当? 私の勘は当たるよ?」
「ハズレハズレ、良いから部屋帰れ、またこちょこちょするぞ!」
「……良いよ……お兄ちゃんなら……」
妹はそう言うと俺の枕を抱いて上目遣いで俺を見る……。
「あ、ああ、兄をからかうのも、いい加減にしろおおおお」
「きゃああああああ、お兄ちゃんが切れたああ」
俺が本気で怒ると、妹はベットから飛び起き、笑いながら部屋から逃げて行った。
まあ……ここまでが俺と妹がいつもやっている遊びなんだけどね……。
「しかし……」
さすがに妹に相談は無いよなあ……なんか学校では恋愛マスターと呼ばれているらしいが、高校生が小学生に恋愛相談とか終わってる。
でも……他に俺が相談できる相手と言ったら……。
「純……」
純なら相談出来そうだけど……そう考えると何故かそれだけはしちゃいけないという気持ちになった。 何故だかわからないが、『純にだけは俺の恋愛相談をしてはいけない』と……神からのお告げの様な、そんな言葉が頭に浮かんだ。
でも……他には……他には……。
『なにか困ったがあったら、いつでも言ってね』
「あ……」
この前言われたばかりの言葉が頭に浮かんだ。
いた……元生徒会長……そう、そうだ……彼女に恋愛相談が出来るかはわからないけど……俺に付きまとう理由を聞く機会になるかも知れない……相談を断れば、それはそれで理由の一つだし……。
そうひらめいた時、つ、遂に詩ちゃんから電話が!!
「も、もしもし」
遂に来た、待ちに待った電話が……俺は慌てながらも確実にスマホの通話のマークをスライドさせた。
『もしもしたっくんですか?』
そう言われて一瞬違和感が……でも直ぐに気が付く。
そうか……普通はしないけど……詩ちゃんはスマホじゃないんだ。
スマホで誰かと通話する時に相手の確認はしない。
「あ、うん……そう」
慣れない通話に頭が混乱している……。
『あはははは、家からたっくんの声が聞けるなんて、夢の様です』
「うん……俺も……」
ああ、感極まって……なにも喋れない……言葉が出ない。
『あ、あのですね、今お母さんがお風呂に入っているです、もっと話したいですけど、必要な事だけ言うです』
「あ、うん」
『今度の日曜日、あの公園で同じ時間に今度こそ待っているです、たっくんに会いたいです』
「わかった……俺も会いたい、詩ちゃんに聞いて欲しい事もあるから」
『はいです! あ、お母さんのシャワーの音が止まったです、じゃ、じゃあ、たっくん大好きです』
「俺も……」
言い終わる途中で通話が切れた……。
「駄目だ……やっぱり……緊張して喋れない……」
助かった……短い時間だったからなんとか誤魔化せた……でも……この先どうすれば良いのか……何を話せば良いのか、付き合うってどうすれば良いのか……女の子の気持ちをもっと知りたい……やはり、あの人に聞くしか……無いのか……。
元生徒会長に相談を持ちかければ……俺に付きまとう理由と恋愛相談の一石二鳥になるか……それとも二兎追う物はになるか……なんにせよ……きっかけにはなりそうだ……。
先が長すぎて折れる寸前……(´д`|||)
でもまだ頑張る……。
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