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付き合うってどうすればいいですか?


「あ、会った?!」


「はいですうぅ」

 詩ちゃんが満面の笑みでそう言った。

 給食を食べ終わると学校の校舎裏の中庭にあるベンチに詩ちゃんを誘った。


 朝から幸せオーラ全快、どっちかっていうとインキャ気味だった詩ちゃんが、何故だか今日はテンションマックスで体育の授業中はしゃぎまくっていた。

 周りがドン引きするくらいのはじけっぷりに、私は何か進展があったなと思った。


 まあこれが詩ちゃんの本来の姿なんだと思うと、少し嬉しい……でも、ちょっといきなり過ぎて周りがついていけてない……もう少しゆっくりだったらすぐに皆と打ち解けられたのに……。


 クラスの女子達は詩ちゃんの恋に興味津々なので、詩ちゃんがその気ならすぐに人気者になれるんだけどなあって思っていた。


 とりあえず私が詩ちゃんの恋の話を聞く事になっているので、いつものように詩ちゃんを教室から連れ出し裏庭のベンチに座らせ事情聴取する事にした。


 私が詩ちゃんに何かあったのと聞く前に、詩ちゃんは自ら喋り始めた。


「昨日……菜ちゃんの家から帰る途中本屋さんに寄ったです」


「うん、なんかいってたね」


「はい、そしたら……たっくんに話しかけられたですううう」

 詩ちゃんは恋する乙女宜しくうっとりした表情に変わった……。


「……それで?」


「私わんわん泣いちゃって……そしたらたっくんが優しく撫でてくれたですう」


「うーーわ、本屋で……それはさぞかし迷惑だったろうに……」

 私なら間違いなく逃げるね……。


「その後二人で公園に言って、全部説明したら……たっくんは許してくれたですう」


「ふーーん……そか……」


「それで……私の事好きって、ふにゃああああ」

 既に詩ちゃんの気分はもう新婚生活の奥様状態で……正直ちょっとうぜえ……って思うけど、でも良かった……。


「…………えっと……それで、そのたっくんとやらはどこの学校のどういう人だったの?」


「……知りませんです!」


「……は? 知らない?」


「はい!」


「おい……それが肝心でしょうに……」

 いや、仕方ない……この娘はこういう娘なんだ……どうも私は見た目に左右される……。


「でもでも封筒を貰ったです! 中には電話番号とメール? と……はふううううう」

 詩ちゃんの顔が真夏のチョコレートのように溶けて行く……なんだこいつ……。

 正直殴りてええ……でも我慢だ、相手は子供だ……。


「何か貰ったの?」


「愛です!」


「ハイハイ」


「何でですかああ!」

 もう聞かなくてもわかる……ラブレターでも入っていたんだろう……。


「それで、電話はしたの?」


「まだですうう」


「まあ昨日の今日じゃねえ、直ぐに電話すると向こうが調子に乗るし、そこはグッジョブね、それで……とりあえず結婚出来ないってわかったんなら、付き合うんでしょ?」


「はいですう……でもでも……」

 詩ちゃんは一転浮かない顔をする……どうしたのか? 相思相愛、お互いがお互いを運命の人と思ってるんでしょ? はよ付き合えよ……。


「……正式に付き合うなら早く電話しなね?」


「……はいですう……でも……あの菜ちゃん……つ、付き合うって何をすればいいんですか?」


「……はい?」


「お嫁さんの準備って事ですよね? お洗濯とかですか?」


「…………そ、そこからかあああああ」


「はい?」


「いーーいーーかーーらーーーー、とりあえずデートしてこいいいいいい」


「ひうううう!」

 我慢の限界だった……私はとりあえず詩ちゃんに電話をして一度会ってゆっくりと話して来なさいと言った。

 

 相手はどんな人なんだろうか? 中学2年と言っていたけど……。


 とりあえずそこまで大人ではないって考えると、まあ初々しくて良いのかも知れない、これで相手が高校生だったり、成人男性だったらと思うと身の毛がよだつよ……。


 詩ちゃんは少し考えて「わかりました、お話してくるです」と言って嬉しそうにニコニコしていた。


 とりあえず会えてよかったね……詩ちゃん。


 さあ、これからこのガキをどうやって大人の階段を登らせるか……まずは相手の出方だなぁ……と私は思っていた。








ブクマ……評価……よ、よろしくうううう(´д`|||)

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