片想い
初作品です。
僕は今、片想いをしている。胸を劈く、叫び声のような強い強い片想いを。叶わないということなんてわかっているさ。それでも消えないこの想いは、僕の意志とは裏腹に、煌々と燃え続けている。
2024年9月3日
夏休みが終わり新学期が始まる。僕はこの日が最高に嫌いだった。昨日までの自由奔放な生活とは一変して、早起きをし、急いで食パンを口に詰め込む。毎年やっているこの動作が、生ゴミのような嫌悪感を増幅させてしまう。学校に行ったって楽しいことは何一つない。ネガティヴの申し子の様な僕には、消えてしまいたいほど憂鬱な1日のはずだった。
──でも、今年だけは違った。友人も愉楽もない、人の影に飲み込まれ続けていた僕の生活に、初めて太陽が出来たからだ。その太陽は、とても静かで、慎ましく、それでいて力強い。見ているだけで幸せになれる、とまで感じてしまった。付き合いたいとは思わない。思ってはいけないと感じてしまった。僕は憧れとして彼女を見ることさえ出来れば、満足なんだ、と。実際それで満足だった。これを恋というには少しひねくれているかもしれない。それでも、僕には立派な恋であり、人生を照らす太陽だった。
気づけば始業式が始まっている。勿論人の話など頭に入ってくるわけもなく、考え事を始める。きっかけは何だったのだろう。現在の恋心に囚われ、忘れていた記憶を少しだけ呼び戻してみる。
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