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プロローグ〜孤独な世界〜



私は1人だ。孤独だ。誰も私のことを見てくれない。誰も私のことを理解しようとしてくれない。誰も私のことを……。


私は結城(ゆうき) 空夢(あむ)。中学2年生の正常な。そう。“正常な”中学2年生女子です。私は正常だと思ってるよ。うん。でもね、世間一般ではそうじゃないみたいなの。いやいや、テストで450越えって普通じゃない?いや普通でしょ!!そう普通なの!!!!私の特技は勉強。好きなものは……勉強をしてるふりをしながらのうないでもうそうをすること。脳内で妄想をすること。へんな妄想じゃなく、ファンタジックな妄想。いろんな敵と戦う。流血とか、銃とか剣とか大好き。人が死ぬのとかも見てていい。決してSな訳ではない。ただ単に見慣れすぎたせいだ。やっぱりおかしいのかな……


私がおかしくなったのは、小学六年生のプール授業の時だった。率直に言うと……溺れたのだ。しかも3回も。もともと勉強熱心で、泳ぐことも必死でやる私は、スイミングスクールに通っている人よりも速い。平泳ぎだけだけど。平泳ぎは疲れないし、長いこと泳げるから休憩せずに泳いでたらいつの間にかかなり速くなった。ただそれだけ。本当にそれだけなの。なのに……スイミングスクールに通ってる人からかなり恨まれてしまった。そりゃスクールに行かずに一年で誰よりも速くなって、大会とかに出るようになったら恨まれるだろうな。でも私はただただ必死で泳いだだけなんだよ。それなのに恨みを買ってしまった。それからだった。何かある事にいじめられ、裏切られ、罵られ、苦しまされていった。で、このプールの授業で、溺れさせられた。そして……死にかけた。


「苦しい!助けて!」


私はある男子に抱きかかえられた記憶と共に、闇の底に墜ちていった。気付いた時には病院の白いシーツの中。心配している男子がこっちに身を乗り出して、言った。


「大丈夫か⁉︎俺が誰か分かるか⁉︎お前、本当に大丈夫なのか⁉︎」


私の耳元で大声で叫ぶ男子生徒は、鬼の形相だ。


「大丈夫よ。私は結城空夢。あなたは小泉(こいずみ) 流斗(ると)。同じクラスの唯一の友達。」


私ははっきりとした声で言った。流斗はホッとしたような顔をして、へなへなと座り込んだ。流斗がどうしてこんなによくしてくれるのかは分からなかったが、まあ嬉しくないこともなかった。


「流斗はどうしてこんなによくしてくれるの?みんなは私のことが大っ嫌いなのに。」


それから流斗はポツリポツリと語り出した。


「俺も元は、お前と一緒で、勉強熱心だった。だからか恨まれたんだよ。お前と一緒さ。だからほっとけないんだよ。」


それから私は、流斗と共に学校を耐え抜いた。しかし中学生になった時、流斗は転校していった。何も、世界を救うんだそうだ。


「また今度ね。生きてたら。」


流斗が涙ながらに言った。流斗が泣くことなんてないから、とても不安だった。いつも流斗と一緒にいた私は、中学校に入ったら完全に孤立してしまった。


私は1人だ。孤独だ。誰も私のことを見てくれない。誰も私のことを理解しようとしてくれない。誰も私のことを…






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