卓也
6
勇斗たちはあの部屋に移ってからというものほぼ平凡といっていい暮らしをしていた。(一部戦闘等の例外もあったが)
この日もいつも通りの平凡な日々を過ごしていた。
「あんた…本当に戦闘がないときはのんびりしてるわね…」
「ん?どうせ何をしたってここからは出られないんだ。そりゃ凛のことが心配じゃないって言ったらうそになる。今でも探しに行きたい。でも今の俺にできることなんてのはほとんどないんだからな。」
「それはそうだけど…そういえばあんたからは凛って娘のことしか聞いたことないけど、ほかに友だちとかはいなかったの?」
「友だちね…いたよ。神庭卓也ってやつが。正義感が強くて思い込みが激しいやつだったな。今頃どうしてるんだろうな…」
「なぜだ!なぜ俺が出撃してはいけない!」
青いマントを羽織った男ー神庭卓也―は指揮官に向かって異議を申し立てていた。
卓也は勇斗たちのいる覚醒者研究実験機関への単独潜入および破壊を申し立てていた。卓也はワンマンアーミーつまりは単独行動権を持っているので独自に行動してもいいのだがエーサに関してだけはそれが認められていなかった。
「何度も言っております通りこの件は上層部の決定がないと何もできないのです。何かあるのでしたら直接上層部に掛け合ってください。」
指揮官もこの会話は10数回におよんでいるので呆れていた。
「くそ…!せっかく見つけたっていうのに。あいつらは俺の話を聞きもしないし、ここの指揮官も上の判断に従うだけかよ。」
こう言いながら卓也は不満そうな顔のまま大きな足音で部屋を後にした。
武器の製造ラインなのだろうか、下でやっている作業が見える橋を卓也が渡っていると前から見た目20代後半くらいの青年が現れた。白銀の長髪の長身の男だ。
「やぁ、卓也。元気かい?…なんだか不満そうな顔をしているけど。」
「お前か、メフィスト。不満なのは当たり前だろ。俺が前から言ってたところの潜入許可がいまだに下りないんだからな。」
「それは…あそこは不穏分子の巣窟だからね。組織の総力をもって攻め入ることになっているんだよ、もう少しだから待ってくれよ。ん?ごめん呼び出しだ。また今度ね。」
そういうとメフィストは少し早歩きでその場を後にした。
メフィストと距離が十分離れたところで誰にも聞こえない声量で卓也は「待ってろよ勇斗。すぐ助けるからな。」といっていた。
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更新が遅れてすいません。少し多忙でして更新が出来ませんでした。今回はかなり少ないですが卓也のいる場所がどういうところなのかの概要を軽く書きました。
誤字脱字等ありましたら、コメントで指摘お願いします。
読んでいただきありがとうございました!