開闘
結局俺は依頼を受けることになった。理由は、ドアノブをチェーンで固められ窓からは面格子で防止してあったりと、強制的にyesと言うまで部屋から出させてくれなかったからだ。根負けした俺は結局依頼を受けることになった訳だが、そんなこんなで携帯の時計は19時を回っていた。
「本当にここであってんのか?」
会長からの情報によると、この時間帯に俺がいる廃工場に現れるらしい。
っと言っても人が現れる気配が一向にない。そりゃそうだ。だって人がいないから廃工場になってるわけで、こんな薄気味悪い所に人なんて現れる筈がない。
それに会長から19時半になってもターゲットが現れなかったら帰っていいとお許しも受けている。このまま来ないことを祈る、つか絶対来んな。
それにしても・・・
「何で俺は逃げないんだろう?」
自分で問うも答えなどではしない。強いてこの問いに返答できる事は自分の性格上、変に真面目なとこがあることだ。
それで今まで依頼を全うし不幸な目にあうのはもう理解しているはずなのに、何でだ?
「何でなんだぁぁぁぁぁぁぁ!!」
俺は頭を掻きむしった。自分自身に対するムカつきなのか、それとも会長(馬鹿)に対する怒りなのか、訳が解らない感情で俺の頭はおかしくなっていく。
「すいませ〜ん」
後ろから急に声をかけられ俺は思わず背筋を伸ばした。つか、恥ずかしい。まさか人に見られるとは思ってもいなかった。
「は、はい!!」
赤面状態で振り向くと、そこにはニコニコと笑いながらこちらを見る坊主頭の男性が立っていた。
内心、何ニコニコしてんだよ、とキレつつもここは冷静に。
「な、ななな何でしょうか?」
めっちゃテンパってるぅぅぅ!!
とっさに俺は両手で顔を隠す。
「つかぬ事をお聞きしますが」
だが、男は動じず続けた。
なんか気を使ってもらったのか申し訳ない気持ちになるがここは俺も丁寧にいこう。
「はい、なんなりと」
「お前生徒会の人間だろ?」
一瞬凍りつく。男の口から出た物はドスがきいていた。
こいつ・・・まさか・・
俺がターゲットだと気付いた瞬間、見えない大砲レベルの砲弾を腹部に喰らっていた。
腹部中心から走る激痛が俺の意識を遠ざける。
俺は数メートル先の錆びれた壁を貫通し、廃工場の中までぶっ飛んだ。
「・・・かぁ・・・ゴホッ」
中のベルトコンベヤーに直撃しなんとか止まった俺は口から血を吐き出し、ギリギリ生きているのを確認する。
何が起きたんだ?
激痛で何も考えられない。
だが、これだけはハッキリと解る。俺は10メートル以上ぶっ飛ばされたんだと。
「案外頑丈だね」
男は俺が開けた穴から工場内へ入ると、俺の目の前まで近付きそう言った。
「テメェ・・・・何もんだ?」
激痛を堪えながら俺は男にそう質問すると、男は馬鹿にしたように笑い始めた。
「頭が悪いのかオメェはよ〜。生徒会と言ったらここら辺じゃ知らない奴なんていないくらいだ。それによ〜」
俺の髪の毛を掴み顔近々まで持っていくと、男の目が大きく見開いた。
「お前ら生徒会を殺せば俺の格も上がるってもんだよ。だからなぁ〜死んでくれよ」
男はニヤリと怪しく笑う。
そして、男は俺の頭をベルトコンベヤーに思いっきり打ち付けた。