終戦後
あれからちょうど2年。
第三次世界大戦という最悪がこの世界を襲ったのがもうそれくらい経つ。
今は嘘みたいに平和な日常を人々は過ごしている。
それもそうだ1ヶ月で終戦したのだから、復興もそれ並みに早かった。
果たして大戦と言っていいのかどうか。紛争程度で終わった話だ。
〈あれから2年です。各国の経済状況は少しずつ回復の方向へ進んでおります。〉
どこかの民家からかテレビニュースが俺の耳へ流れ込む。
あれから2年。俺にとっては重い話だ。
「コラ新人!!あんたこんなとこで油売ってないでさっさと依頼の猫探すよ」
ツインテールの少女が電柱の上から近所迷惑クラスの声量で俺に声をかける。
「はいよ。めんどくせぇな〜何で俺が他人の猫探しに行かなきゃならないんだ」
「それはあんたみたいな無能が唯一できそうな依頼だったからに決まってるでしょ!!そもそも私みたいな優れた人材が手伝ってあげてんだから、感謝を噛み締めつつさっさと捕まえなさい」
聞こえない程度に言ったつもりなんだが、少女は普通に俺のボロを聞き逃しはしてくれなかった。
それどころか、更にデカい声で説教垂れるなんざ優れた人材とか言ってるお人は近所迷惑をお考えにならないそうだ。
へいへいとヤル気のない返事をし俺は猫探しに足を進めた。
「無能!!あれ依頼の猫じゃない」
その時、興奮気味に少女は俺の目線の先に指を指す。
そこには依頼の猫とそっくりの猫が捨ててある雑誌の山に寝ていた。
「無能!!あんたに似たあの猫をさっさと捕まえなさい!!」
無能無能うるせぇ。何で俺がこんな罵倒されながら仕事しなきゃならんのだ。この猫捕まえたら、明日からボイコットしてやろう。
そう明日の目標を決め、いざ猫へ俺は飛びかかった。