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入学とクラスメイト

  4月。

 桜が舞い落ちる道には今年、園井学園に入学する高校一年生達が在校生に交じって歩いている。

 僕、植田 葵(うえだ あおい)もその一人だ。みんなの中でやっていけるだろうか。不安と期待が混じった様な学校に入学する時に誰もが抱くであろう感情を胸に校門をくぐった。


(凄そうな人ばっかかと思ってたけど意外に普通の人達、なのかな?)

 てっきりもっとアブナイ人がたくさんいるんだと思っていた。でも、周りを歩く人達はみんなどこにでもいそうな高校生、といった感じだ。


 ここ、園井学園は山奥にひっそりと建つ学校だ。

 なぜもっと家に近い学校にしなかったかというと、この学校は超能力者達のためにつくられた特別な高校だからだ。


 幸い、全寮制で学費は学校側が大体負担してくれるので実質タダという好条件。ただし入学条件は超能力を使えること。勉強は人並み以下の僕は「こんないいところはない!」とここに入ることを決めたのだ。


 超能力とはいってもいろんな系統があって、この学園には学科が【パワー科】【ディフェンス科】【スピード科】【リカバリー科】【ユニーク科】の五つ。肉体強化など力関係の能力を使う人が入るパワー科は赤い上着、バリアなど守備関係の能力を使う人が入るディフェンス科は青い上着、速度操作など速度関係の能力を使う人が入るスピード科は黄色い上着、治癒など治癒関係の能力を使う人が入るリカバリー科は白い上着、そして透視など特殊な能力を使う人が入るユニーク科は黒い上着の着用が校則として決められている。


 僕はディフェンス科なので白いワイシャツに青の上着、下は紺のズボン(学科を問わず同じ)といういたって普通の制服姿だ。


 周りを見渡してみると、赤い上着の生徒がよく目につくのでパワー科の人数が他と比べて多いのだろう。青い上着の生徒は…見当たらない。人数が少ないのだろうか。


 あまりキョロキョロするとかっこ悪いのでそろそろ教室に向かうことにした。


 校舎は学科ごとに一つずつあり一本の渡り廊下で繋がっている。


「今いるのが前庭だから…こっちか」


 そこそこ広いので慣れるまで迷いそうだ。と思っていたら本当に迷った。

 それから10分後。


「やっと着いた…」


 初日だからと早めに来たので、遅刻はしていないが一応時計を確認する。よし、大丈夫だ。

 いったいどんな人がクラスメイトなんだろう?怖い人がいないといいな、そう思いながら教室のドアを開けた。そこには、


 長机が一つ、パイプ椅子三つと生徒が一人。


「え?」




  教室間違えたみたいだ。おかしいな。地図読み間違えたかな?

 自問自答しながら教室を出ようとすると、教室にいた男の子に呼び止められた。


「ねぇ君、一年ディフェンス科に入った人?」

「う、うん。そうだよ。でもごめん、教室間違えたみたいで」

「間違えてないよ。ここが一年ディフェンス科の教室。まだもう一人のクラスメイトは来てないみたいだけどね」

「ここが教室…」


 確かに前に教卓と黒板があって机と椅子もあるけど…


「ちっちゃ!校舎のサイズとあってないよね!?」


 僕がそう叫ぶと、


「あははっ!第一印象がそれ!?君、面白いよ!」


 とツボに入ったのか大笑いした。


「そんなに笑わなくても…」


 割とショックだ…。

 そのことが顔に出ていたのか、彼は笑うのをこらえて謝ってくれた。


「ごめんごめん。俺は八神 浩人(やがみ ひろと )。君の名前は?」

「僕は植田 葵。これからよろしくね」

「よろしく。アオって呼んでいい?俺のこともヒロでいいからさ」

「うん。あ、もうすぐ入学式の時間だよ」


 時計の針はちょうど10時を指していた。体育館までいく時間を考えるといい時間だ。


「本当だ。じゃあ喋りながら行こっか」

「うん!」


 そう言って僕達は教室を出た。




 

 入学式は意外と普通に終わって、僕とヒロは今教室にいた。

(結局もう一人の同級生は入学式に来なかった。)


「教室に戻ったらHR(ホームルーム)って聞いたけど、先生来ないね。帰る?」

「うーん、あと5分待とう。先生が教室に来て誰もいなかったらヘコむだろうし」

「そうだよね。ねえ、アオはどんな先生だと思う?」

「こう…ゴツくてでかい感じの…」

と、思ったことをそのまま口に出すとヒロは苦笑いしながら、

「ちょっとイメージが偏り過ぎてないかい?」

と答えたのだった。


 ヒロとはこの短期間で親友と言っていいほど仲が良くなった。元々好みとか趣味があったからだと思う。

 話を聞いていると、ヒロも結構遠い所から来ていて能力が使えるようになった時期とかも大体一緒みたいだ。


「でも本当に先生遅いなー」

「5分たったし、もう帰る?」

「そうだな」


 その時、扉が勢いよく開いた、と言うより外れた。


「こーんにちはー!」


 ドアを破壊して教室の中に元気な声を響かせたのは、小さな…少女?


「本当に人数が少ないんですねー。驚きです!でも少なすぎますね…。ほかは欠席遅刻ですか?」


 少女はディフェンス科の関係者なのだろうか。このクラスに興味を示しているようだ。

 しかし、そんなことよりも僕には気になることがあった。


「あの…誰ですか?」

「あ、自己紹介がまだでしたね。私は一年ディフェンス科の担任、松下桜です!一年間よろしくです!」

誤字脱字がありましたらご報告お願いします。

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