その一言が言えなくて
私っていつもそう。
余計な話ならベラベラ喋れるんだけど、大切な話になると口が上手く動かなくなって、言わないまま。
けど、もうダメなの。
言わなきゃ…伝わらないもん。
さて、私が何を言うのかと言うと、
「し、設楽!」
同じクラスで同じ委員会の設楽。
バカでお調子者。
そいつに私は告白をするつもりだ。
場所は放課後の委員会後の教室。
既に人はいない。
何故私が奴を好きになったのかは分からない。
気づいたら目で追ってて、たまにキュンとしたり、設楽が他の女子といると胸がきゅうっ…となる。
設楽より優しくてかっこよくて頭のいい男の子は沢山いる。
しかし気になるのは設楽1人。
ああ、私はほんとに設楽が好きになったんだ。
誰かを初めてこんなに好きになったことが嬉しくて、そこを嬉しく思っている私自身も、なんかいいじゃん。と思った。
「おう。どした岬。」
付き合ったら岬って苗字じゃなくて、名前で呼ばれるのかな……ってか、そうしたら私も設楽を名前で呼ぶんじゃん‼
「おーい、岬さーん。」
おっといけない。
何か妄想が広がりそうだった…。
「あ、あのね、設楽…!」
「おーい!!設楽ァー!」
言おうとした一言を遮るように、誰かが入ってきた。
「あ、わり…邪魔した??」
入ってきたのは、隣のクラスで設楽の友達。
「ん?別に平気だぜ?」
「あ、うんうん!大した用じゃないしー!」
「そか、じゃー良かった。設楽、氷室先生がお前呼んでる。お前昨日の課題出してないんだってな。」
「げ、まじか。忘れてたわ。」
「あはは、頑張れ設楽ー!」
「はー…じゃ、行ってくるわー。」
「うん、バイバイ。」
「ん。」
設楽と男子が出てって静まり返る教室。
「………好き。」
その一言が言えなくて、
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