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子供のリックとエリカは日が沈む前に孤児院に着けるよう、収穫したスモモと少しの野菜を持たせ、魔除けの守りを首に掛けて先に街へ帰した。
冒険者の三人組も依頼達成の証明印をフレードに記入してもらい、本日の仕事は終わりである。
「今日はありがとう。力仕事ばっかりで疲れただろう?まだ仕事が残ってるから帰りは送れなくて悪いね」
ロージーの腕を視線で示しながらの言葉に、三人共がそこまでして貰えないと首を振った。
ただでさえ子供達同様に収穫物を持たせて貰ったし、仕事終わりに茶まで馳走になったのだ。
ロージーを一人にしなくて済んだし、単純な力仕事は心配事が減った分、気楽なものだった。
「さようなら!お世話になりましたー!」
「「失礼します」」
ロージーの元気な声に続き、仕事のけじめであろうか、エルマーとフランツも丁寧な帰りの挨拶をして赤く染まる道を街へと歩いて行った。
「さて、静かになっちゃったけど皆を獣舎に入れなくちゃな」
吊り下げられた店名の書かれた看板を外して、フレードは先ず夕食に使う根菜だけをサッと収穫した。
裏口に看板と一緒に一先ず置いて、そのまま馬系騎獣の元に行き、指笛を一定の間隔で吹く。
フレードの魔力を乗せる事で、端まで見えない程の広い柵の中全体に響き渡った。
気付いた騎獣達は性格や気分で駆け足だったり、時々立ち止まってみたりしながら獣舎へと帰って来る。
放牧場は、勝手な繁殖や縄張り争いを防ぐ目的も有り、獣舎の側から扇状に数カ所、柵で区切ってある。
気性の荒い個体から順に誘導して、ざっと目視で怪我の有無等を確認。
「今日は素直で良かったよ」
最後の一頭まで確認し、獣舎の柵を閉じる。目の届かない時間の、喧嘩等を防ぐ為にも一頭毎に仕切られているが、自分の場所とばかりに其々が別れて入っていくので、やっぱり彼らはとても頭が良い。
個別の餌と水はお願いしておいたので、揃っているかだけ確認してここは終わりだ。
ヴァルターも同じ様な手順で、肉食の騎獣達を獣舎に入れてくれている。調教師なだけ有り、フレードよりすんなり言うことを聞くので、任せつつも少し内心にもやりとした物を感じている。
店主として仕事を熟すフレードとて、未だ十代の若者なのである。自分の未熟さも、人手が足りない事による焦燥も、勿論、将来に向けた不安だって抱えつつ、穏やかに見えるように見栄を張って生きている。
格好良いと思われたい、ちょっと楽して暮らしてみたい、そんな何処にでもいる様な青年なのである。
楽していきたい!
老化しない内臓が欲しいです。




