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丘の上の大きな木の下で  作者: 菓子カンの中


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お話の舞台の国についての説明回です。

 街へ向かって一頭引きの獣車がのんびり走る。御者台の後ろに長椅子が一脚取り付けられ、大きな幌が日除けに着けられているだけの簡素な車だが、目立つ汚れや傷みも無くしっかりと手入れされている。


「出発と停止の指示だけで、街の門の停車場迄は勝手に行って来られる賢い子だよ」

 店主にそんな言葉で馬形の騎獣と共に送り出され、街道へと続く道をフランツは揺られている。

 幌の上部、両側に付けられた魔除けの守りが、時折きらりと陽光に煌めく。騎獣も機嫌が良さそうに尾を揺らし、艶の良い毛と一緒に編み込まれている守りが、こちらはしゃらりと音を立てる。


 きらきら、しゃらりしゃらり。昼近くの明るい道をガラガラ走る馬車に合わせて、さながら大道芸の人寄せの様だ。

 道自体も太くはないが店まで客が通る為か、定期的に手入れしている様だ。車輪が大きく跳ねる事も無い。

 種でも蒔いたのか大小の青い野花が道沿いに咲いていて、甘い香りが土や草の匂いに混じっている。


 ここ、『青き大地を讃える国』では、名の示す通り青色の花や実をつける植物が多い土地だ。樹木の葉も青み掛かっている為、珍しい景観を売りに護衛を雇える者向けへ観光業にも力が入っている。

 王都が中央南寄りに有り、東西に一箇所ずつ、北の山脈からの守りに二箇所、南にも二箇所主要な街が栄えており、大きな街道がぐるりと巡っている。遥か上空から見れば、王都を中心に目の粗い蜘蛛の巣にも見えるだろう。


 今フランツが向かっている街は北の一番大きな街『カカンナ』である。南北に延びる街道と、東の街とをつなぐ街道が交差する為に栄えている。北の山脈の麓が広大な森であり自然の恵み豊かである反面、弱き者には厳しい土地でもある。

 

 この国は東側の海に一カ所迫り出した土地を鶏の嘴に、北の国境を守る山脈を鶏冠に見立てて、雄鶏の頭のような形にも見える為、蔑称で『鳥頭の国』等とも言われたりしている。


 国民性も、普段はのんびりしている一方、侵略者に執拗に全力で飛び掛かる様は、気性の荒い鶏そのものに見えなくもない……とか何とか。

 周辺国でもそうだが、多人種が入り乱れて生活している為大小の問題は有れど、大きな戦乱も今の所見られず概ね平和な情勢だ。


 『穢れ』を溜めた生き物が狂い凶暴化すると、討伐隊が組まれる事もあり各国も戦力は常に抱えている。それ以外は野生の魔獣を筆頭に野生生物によって農作物等に限らず人的な被害も出るので、『冒険者ギルド』が隙間を埋める為に民間向けの依頼を取り仕切っている。


 家を継げない男児や英雄譚に憧れるが、騎士や兵士の規律を煩わしく思う者。そもそも貧しさや環境により知識を身につけられず、自身の肉体や魔力のみで活路を拓こうとする者。そういった者達の受け皿としての側面も持つので、各国も冒険者ギルドを受け入れているのである。


うちにいた鶏はめっちゃつつくヤツでした。服越しでも痛い。羽がサラふわでかわいかった。

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